令和2年度「第4回環境文化シンポジウム島と東京を結びこれからの奄美の環境文化を考える」記録集
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-4-植物が絶滅することなく残されてきたという奇跡は、自然の恵みを損なうことなく継承してきた地域の皆さんの暮らしや伝統文化が、その奇跡を実現させてきたのではないでしょうか。一方、現在の国内や世界に目を転じると、昨年初めから拡大を見せる新型コロナウィルス感染症は、私たち人類にとって大きな試練となっています。このような時こそ、人類が蓄えてきた「知の力」を充分に活かすべきであると考えますが、奄美地域には、人が自然と折り合いをつけながら、支え合い、助け合って暮らしていく経験と知恵が豊かに存在します。このような知恵を掘り起こし、現代の知性を加味することで、世界に発信できる奄美地域の確かな未来を描いていけることと思っております。過去3回のシンポジウムでは、奄美地域の自然に根ざした集落の生活文化を見つめ直し、農村部や都市部における自然とのかかわりの変化を読み解き、奄美地域のこれからを地域の皆様と共に考えてきました。本日のシンポジウムを通して、より多くの方とともにこれからの奄美地域の暮らしをいかに創造していくのか、議論が深まることを期待しております。最後になりましたが、本シンポジウムの開催にあたり、資金協力をいただきました環境省沖縄奄美自然環境事務所、共催者である鹿児島県、後援をいただいた奄美市、奄美群島広域事務組合、奄美市教育委員会、東京奄美会、あまみエフエム・ディ!ウェイヴ、そして、ご登壇者をはじめ関係する皆様方から、多大なご協力をいただきましたことを感謝いたします。本シンポジウムが皆様にとって実りあるものとなることを願いまして、私のご挨拶とさせていただきます。【共催者挨拶奄美群島国立公園管理事務所長阿部愼太郎】―続きまして、共催者であります環境省奄美群島国立公園管理事務所阿部愼太郎所長よりご挨拶を頂戴いたします。よろしくお願いします。環境省奄美群島国立公園管理事務所所長阿部愼太郎こんにちは。昨年の7月に奄美群島国立公園管理事務所の所長として着任しました阿部と言います。赴任してまだ半年ぐらいではあるんですけれど、私自身は大学卒業してからも奄美にいましたし、いろいろと機会のありました奄美での生活を全部足すと18年ぐらいでございます。本日は、ここに第4回環境文化シンポジウムが多くの皆様のご参加のもと、web参加も含めて開催できますことを心より感謝申し上げます。本当にありがとうございます。皆さんもご存知かと思いますけれども、アマミノクロウサギをはじめ、奄美大島と徳之島にしか生息していない動物等がいたりしますけれども、奄美群島、沖縄諸島という地域には極めて古い時代の生き物が生きている、残っているということが言われています。今までの研究によれば200万年くらい前の生き物が隔離された状態で生き残っている。日本本土と大陸と最後につながったのは3万年ぐらいのレベルですので、そういう意味では、多分、現在の地球の生物相とは違う時代の生き

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