平成27年度「奄美の明日を考える奄美国際ノネコ・シンポジウム」
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平成21年1月鹿児島環境学宣言環境問題は21世紀最大の課題である。それは二重の意味をもっている。第1は外部にある環境の破壊であり、第2は私たちの内にあった自然に対する感性の喪失である。環境問題は自然科学や技術文明の、あるいは政治や制度の問題である。また、芸術や市民運動、地域づくりの課題でもあるだろう。しかしより根本的には、自然の一部としてのヒトと、自然を操作する主体としての人間、この人間存在の二重性と矛盾から生じるものである。さらには私たちがいまだ、これらを刺し貫く思想と価値観を見出せないということでもある。テーマは複雑多岐にわたって、これまでの学問的領域を軽々と超えるだろう。解決の手掛かりは机上ではなく現場にある。現場とはすなわちそこにある自然であり、自然とともに生きてきた人間の歴史の謂である。長い時間が積み上げてきた人々の知恵を驚きとともに発掘し、現代の知性を大胆に加味して、未来への新たな関係を紡いでいくこと。解決への道筋は、現場でのそうしたねばり強い作業にこそある。自然、環境との共生や調和に必要なもの。それは私たちを取り巻く自然、環境の回復と再生である。しかし同時に欠かせないのは私たち自身の再生である。このための試みは、科学的、論理的、かつ体系的であることが求められるだろう。ただそれ以上に大事なことは、取り戻したいきもの達への感覚と地域の暮らしとの緊張感の中で、現場に即した具体性とでもいうべきものを発見していくことにある。私たちは、精緻な批評であるよりは例え小さくても具体的な提案を目指す。世界と未来に向けて確かなものを提案するために、ここ鹿児島であしもとを見つめ直すことから始める。それが鹿児島環境学の出発点である。

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