- 47 - (1)メッセージ-2-主催者メッセージ 鹿児島大学学長 前 田 芳 實 奄美地域にはアマミノクロウサギをはじめとする希少な野生動植物を育む素晴らしい自然環境が残され、その自然環境がいま、世界自然遺産に登録されようとしています。 「島嶼」と「環境」は鹿児島大学の重点領域です。本年4月には奄美群島拠点整備の一環として国際島嶼教育研究センター奄美分室を名瀬地区に設置し、全学的に「生物多様性とその保全に関する教育研究拠点形成」をテーマに活動を始めるなど、奄美群島における取組の充実を図っています。 今回のノネコ・シンポジウムは、「地域とともに社会の発展に貢献する総合大学」を目指す鹿児島大学の地域貢献の取組です。教育研究を充実させるだけでなく、それらの成果を生かして、地域の課題について地域とともに考え、解決策を模索するこのような地域貢献活動を鹿児島大学として精力的に進めていく考えです。 鹿児島環境学研究会は、鹿児島の足元で起きている環境問題に地域とともに取り組む活動を行ってきました。世界自然遺産に登録された屋久島や、今まさに登録の道のりを歩んでいる奄美地域において、人類遺産の保全と地域の豊かな暮らしが調和するための方策を探ることは、国内の他地域にとっても、さらには国際的にも重要であり、これからも取組を進めます。 地域課題解決の主役は地域の皆さんであることを念頭に、大学としてどのような貢献ができるかをこれからも考えていきたいと思います。共催者メッセージ 環境省那覇自然環境事務所長 西 村 学 このたびは、奄美国際ノネコ・シンポジウム「明日の奄美を語る」にご出席をいただき、誠にありがとうございます。 環境省那覇自然環境事務所では、奄美・琉球諸島の世界自然遺産登録を目指し、様々な取り組みを進めています。その一つがノネコの対策です。 ネコはその生活様式によって、人に飼われている飼い猫、野外で生活しながらエサは人間に依存している野良猫、山中で野生動物を捕まえて自活しているノネコ、の3種類に区別されます。ネコは、飼育下での愛玩動物と野外での強力な捕食者という2つの顔を持っているのです。 ここ奄美大島では、ペットの遺棄等により野外に広がったノネコや野良猫がネコ本来の狩猟能力を発揮して、絶滅のおそれのある希少種を含む野生動物を捕食することで、生態系への影響が懸念されています。そのため、国、地方公共団体、飼い主、住民などが地域としての解決策を考え、連携しながら総合的な対策を進めていくことが求められています。 本日のシンポジウムを通じ、ノネコ対策の重要性を理解していただき、地域ぐるみでの取り組みにつながることを期待しています。-3-共催者メッセージ 鹿児島県環境林務部次長兼 奄美世界自然遺産総括監 山 重 秀 行 「奄美国際ノネコ・シンポジウム」が、多くの方々の御参加のもと盛大に開催されますことを、心からお喜び申し上げます。 また、鹿児島大学鹿児島環境学研究会及び奄美大島の関係者の皆様におかれましては、シンポジウム開催に向け、ノネコ問題に関する様々な議論を重ねながら準備を進めてこられたことに対し、深く敬意を表します。 さて、県では、平成30年夏の「奄美・琉球」世界自然遺産登録の実現に向けて、国、市町村等と連携し、様々な取組を進めてきております。 特に、アマミノクロウサギやトゲネズミなどの希少な固有種を捕食し、奄美大島及び徳之島の生態系に大きな影響を及ぼしているノネコの対策は、重要な課題となっています。 このため、県では、ノネコ対策等を検討するため、奄美大島と徳之島にそれぞれ検討会を設置し、関係機関等との協議を行っており、徳之島においては、昨年度から本格的な捕獲が開始されたところです。 ここ奄美大島でのノネコ対策については、今後、関係機関等との更なる協議を重ね、具体的取組について検討することとしております。 ノネコの問題は、地域の皆様と関係機関等が情報を共有しながら、共通の認識に立つことが重要であり、本日のシンポジウムが、より多くの皆様方の御理解と御協力を得られる契機となることを大いに期待しております。 終わりに、このシンポジウムが実り多いものとなりますことと、皆様方の御健勝・御活躍を祈念してあいさつといたします。協力者代表メッセージ奄美群島広域事務組合管理者 朝 山 毅 奄美の明日を考える奄美国際ノネコ・シンポジウムが開催されますことを心からお慶び申し上げます。 奄美群島には、アマミノクロウサギやトクノシマトゲネズミをはじめ世界的にも貴重な固有種や珍しい動植物が数多く生息しており、島の周りには、美しい多くの種類のサンゴ礁が広がっております。本場奄美大島紬や各島に残る唄や踊りなど、オンリーな文化を有する地域です。 奄美群島広域事務組合では、島の持続的な振興を目指すエコツーリズムを推進するとともに、今後の国立公園指定や世界自然遺産登録を見据えて、国・県・市町村・関係団体・地域住民が一体となった様々な施策に取り組んでいるところです。 現在、国立公園指定・世界自然遺産登録の実現に向けて必要な取組を議論する中、特にノネコ・ノラネコ問題への対応は、希少生物保護、生態系保全の観点から、より積極的な取組が必要とされております。そのため、奄美大島では5市町村一体で飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例を制定し、徳之島においても昨年度より3町一体となってTNR事業が実施されておりますが、これらの取組を推進するためには、奄美群島に住む私たち住民一人ひとりの理解と協力が大変重要であると考えます。 結びになりますが、この大変時宜を得たシンポジウムの開催にご尽力いただいた関係各位に衷心より厚くお礼申し上げますとともに、本シンポジウムにご来場いただきました皆様にとって明日の奄美のためにできることを考える時間となりますことを期待しております。2.会場配布プログラム冊子「奄美の明日を考える奄美国際ノネコ・シンポジウム」(抜粋)
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