平成27年度「奄美の明日を考える奄美国際ノネコ・シンポジウム」
30/75

-27 -コが食べられるのは、せいぜいこのように人間が食べ残しだったものだったしょう。つまり栄養が、今のネコがエサで食べている者と比べれば良くなかったんじゃないかと思います。そして、ここにたくさんの顔が出てきましたけども、昔は人々のつながりが濃密だったので、寂しいとか、そういったことを今よりは少ないと予想されるのではないでしょうか。つまり、さみしさや癒しのためにネコにエサもやることはなかったのではないか。もちろん当時もネコは山に行っていたかもしれません。でも、今の状況とはずいぶん違ったのでないかということが考えられるように思います。また、人によってはネコも神様だと認識していたということが昔はあったという話も聞きます。 今イメージ図を使って話したものを文字にしたものがこちらです。3つあります。仮説Aのところをご覧ください。ネコというのは、生活の実利に必要不可欠だったとあります。仮説Bは、ネコの栄養状態は今よりも悪かったのではないか。そして仮説Cは、一人暮らしは今よりずっと少なかったのではないか。総じていうと、人と自然の距離が近かったということがいえるのではないかと思います。 これが今の時代になると、科学と技術の発達、進歩で暮らしは随分変わりました。ブロック塀ができたり、栄養価も高くなったり。それに伴い、生活様式が変わってきたということがいえるかと思います。つまり、ノネコの問題とは、人の暮らし方、あるいは自然との付き合い方の変化がもたらした問題であるという点については、たとえいろんな多様な価値観や考えがあったとしても広く共有できることではないでしょうか。 そして、次に二つ目の視点です。ネコについて、ちょっと考えてみたいと思います。一番左にあるとおり、ネコという動物は、家畜化しにくいという特性をもつといわれています。肉食獣で、単独行動と縄張り性を持っています。そこで、ネコの言い分から見た場合、今と昔では何が変わったのかといえば、ネコが肉を食べている点は変わりないのです。ただ、その肉を自分で獲得しているのか。あるいは人が代わりに動物を殺して、餌をやっているかの違いというのは確かにあるのです。仮説Bは、ネコが食べる栄養価が高まり、より健康になったのではないか。また、獣医もおりますし、昔に比べてネコも長寿になったといえそうです。そして、仮設Cということですけども、ネコは非常に適応力が高い動物といわれています。ですから、山奥の森林から町中でも生息できます。ただ、山の中にいるネコが敗北者なのか。あるいは自活できるエリートなのかというのは、ちょっと微妙で、ネコに聞かないと分からないかなという感じがいたします。 要するに、ネコというのは餌の事情、あとは住まいの事情によって行動する。ネコにとってはいたって正常な行動というふうにいえるのではないか。つまり、このシンポジウムでわれわれがネコの問題行(A)(B)(C)©KOTOMI2015 KAGOSHIMA UNIVERSITY YUKO OGURI©IBUKI2015 KAGOSHIMA UNIVERSITY YUKO OGURI)()2(36203~4((A)(B)(C)©KAISEI2015 KAGOSHIMA UNIVERSITY YUKO OGURI

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る