平成27年度「奄美の明日を考える奄美国際ノネコ・シンポジウム」
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- 22 -答が異なるかなと予想していたのですが、そういうのもなかったので、ノネコと野良猫の問題の違いみたいなものをあまり認識していないのかなというふうに感じました。あとは最終的な殺処分においても、他の対策をとる上においても、問題と思うか・思わないかについてなんですが、どれくらい緊急なのかというのもデータとして示していく必要性も感じました。 最後に、自然への関心度と知識に関してなんですが、「奄美の自然にどんなイメージを持っていますか」という質問をしたところ、いろんなワードが出てきたんですけれども、もっとも多かったのは、この「身近さ」、自分との距離についての発言でした。とても近くに感じている、と。その次に「美しい」とか、「大事にして守りたい」という発言がありました。特に動物に関しては、やはり「希少種、固有種」、「珍しいものがいっぱいいる」という発言が見られました。 一方で、こちらがプラスなイメージだとすると、マイナスなイメージなんですけども、「詳しくない」、「動物についてよく分からない」、「自分には価値が分からない」と回答されている方もそれなりにいらっしゃいました。実際、他の設問で、「この動物を見たことがありますか」と聞くと、私もこれは奄美に来てびっくりしたんですが、意外とクロウサギは見たことがない方もいらっしゃいますし、イシカワガエルの名前も知らないという方も結構いらっしゃいました。大事だなとは思いつつも、実際に詳しい知識というのは持っていない方もいらっしゃるのかなというふうな印象を受けました。 以上をまとめますと、ノネコ問題に関しては、奄美大島の住民の方々の間でも問題として認識されており、対策の必要性を感じていらっしゃることが分かりました。ノネコの原因に関しては、捨て猫とか管理、野良猫の問題だというふうに理解している。これはもちろん、山と里が連続しているという状況を踏まえての発言でもある方もいらっしゃるんですが、むしろやはり飼い猫や野良猫の問題のほうが身近なので、ついそっちに考えが向いてしまうという結果でもあるのかなと思いました。 条例に関しては、半数以上が賛成ではあったのですが、やはり条例化の効果について、「本当に効果があるのか」、場所ごとに事情が異なるので、集落によっては問題がないとおっしゃっているところも結構あって、そういう事情の違いがあるうえで、「均一に縛るのはいいか」という意見がありました。 管理方法に対しての許容度について、里親さがし、TNR、殺処分でお聞きしたんですが、いずれにしてもコスト面による比較であるとか、場所ごとでの細かい管理など、あと状況の深刻度の把握という課題に関しては、住民の方も管理する行政側もお互いに議論していく余地があるんではないかというふうに感じました。 最後に、奄美の自然に対しては希少価値を感じて、世界遺産というワードも私から出さなくても回答者から自然に出てくることも多々ありまして、それを意識した上で、大事にしてきたい、守っていきたいという意識が強いのかなというのを感じました。住民の方々と行政とで議論していって、いいかたちで対処していってもらえたらなと感じます。 最後、地域のこういった外来種を含めた問題について、大学ができることというのを簡単にまとめました。調査研究というのは当たり前ですが、外来種問題を課題にした研究者が調査をして、何らかの成‣••‣TNRTNRTNR‣1022171798881177521761054

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