平成27年度「奄美の明日を考える奄美国際ノネコ・シンポジウム」
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- 16 -す。結果はハッピーエンドだったのですが、中位捕食動物を放したことで悲劇がおこる寸前でした。 駆除作業を行う際のもう一つの大きな問題として島の大きさがあります。まず大きな島であれば、対象となる種を島全域から確実に除去することがとても難しくなります。もう一つの問題は、人々の存在です。例えば、人々が存在しているところでは有害動物を銃や毒餌を用いて除去することができないのは明白です。また、人が住んでいると有害動物を駆除することが妥当なのかどうかという点では意見が分かれることもよくあります。 ですから、どのような駆除であろうとそれを始める前に、有害動物の除去についての結論を地域社会の人々が納得して支持していることが重要になります。 すなわち、このような課題やリスクがあるので、今では、まず最初に実行可能性の評価をしてからでないと駆除作業は行ってはならないということが一般的に合意されています。また、駆除の実行可能性の評価をどのようにして行うかということについては、長年にわたって多くの研究がなされています。すべての基準を紹介すると時間がかかりますのでここでは話しませんが、過去2,30年に駆除の成功と失敗の原因から学んだということが重要です。駆除前に実行可能性の評価をすることで、逆にコストの掛かる失敗というものも避けることができます。ここに挙げられている基準は1995年にバムフォードとオブライエンが発表した駆除成功の評価です。その後も実行可能性の評価について多くの重要な追加がこの文献になされています。 ここにある2つの出版物は最初にバムフォードとオブライエンが書いたものに追加したもので、IUCNのウェブサイトから無料で手に入れることができます。この書物に書かれている教訓を考慮することは重要です。 それでは、奄美大島について具体的に見ていきましょう。ノネコ駆除がこのシマで行われた場合想定される問題があります。まず島の大きさです。奄美大島の面積はマリオン島の2倍以上あります。このマリオン島というのは、今までにノネコの駆除が成功した一番大きな島です。今現在、オーストラリアで奄美とほぼ同じ大きさである600平方キロメートルの島で現在、駆除活動が行われていることを付け加えます。 地形を見ましても、奄美大島には非常に大きな山があったり谷があったりしますので、これもネコを島全体から駆除することを難しくしています。それにも増して、もっとも大きなのは法的、あるいは社会的な問題であります。先ほど述べたとおり、人が住んでいる場所で除去技術を用いることでは安全性の問題もありますし、もちろん、社会的に受入らるかという問題もあります。先に進めるためには地域社会が駆除を支持するという立場をとらなくてはいけません。 管理をするために、駆除だけが唯一の方法ではあ•–?–?••13•&19951.>2.3.4.5.6.1415

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