平成27年度「奄美の明日を考える奄美国際ノネコ・シンポジウム」
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- 12 -【基調講演2】    ニュージーランド保全管理研究所研究員 アル・グレン    「島嶼地域における侵略的生物種の管理:            ニュージーランドの取組」 こんにちは。まず最初に、ここに皆さまの前でお話する機会を得られましたことに、心より御礼を申し上げます。 私にとりまして奄美大島のような島は、野生生物を保護するという意味では本当にわくわくする場所で、とても大事な場所だと思っております。それにはいくつかの理由があります。 まず世界中の絶滅の危機にひんしている野生動稙物というのは、その半数が島々の中にあります。次に、野生動植物を絶滅の危機に追いやっている脅威を取り除くのは広い陸地では不可能な場合が多いのですが、島嶼の場合は面積が小さいためこの問題にもっと効果的に取り組むことができます。 世界中で動植物が減少したり絶滅している要因の大きなものがマングースやノネコといった捕食動物です。 まず今日ここでお話する内容を簡単に紹介します。最初に私の国、ニュージーランドでの外来種駆除の歴史を話し、具体的なネコの駆除の取り組みについてグローバルな視点からお話する予定です。 次に、ノネコの駆除をした結果、環境面、社会経済面で起こった成果というものについてお話しします。 そして、駆除プログラムに関わるリスクは、どんなものがあるのか、あるいは、どういったものが課題として起こり得るのかという点を述べて、実行可能性を十分に調査するために、なぜこのことが重要なのかということについてお話しします。 実行可能性調査をすると、駆除はもっとも効果的であることがわかることが多いのですが、この駆除だけが最高のものとは限りません。この駆除に代わる手法について最後に述べたいと思っております。 ニュージーランドで行なわれた外来種の最初の駆除は1912年に行われました。このヨーロッパのウサギはアマミノクロウサギみたいな希少なものではありません。面積がわずか5ヘクタールという小さな島で駆除しました。 それ以降、ニュージーランドにて他の島から入ってきた20種類ものさまざまな侵略的生物種の駆除は約500件が成功しています。これは世界中の駆除成功例の三分の一以上となります。駆除したものには、クマネズミやハツカネズミなどのネズミ類、そしてポッサムのような有袋類、ヤギなどの大型有蹄類、そしてもちろんネコなどの捕食動物がありました。 駆除結果の例ですが、このスライドの下のほうに島の絵があります。これは私が住んでいますオークランド市の港湾にある島ですが、ここで12種類の•••––•••2

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