2 2.調査方法 1)奄美群島における環境文化把握調査 ① 戦後の土地利用の変化の整理 奄美大島について、大正、昭和30~40年代、昭和60年代、現在の5万分の1の地形図を購入し、凡例ごとに色を付けて、土地利用変遷図を作成した。図の作成にあたっては同時代の航空写真を参考とした。 また、環境文化把握調査を行う集落周辺については前述の図をGIS化し、傾斜などの地形、林齢、植生図等と分析が可能なよう整理する。さらに本地図に②と③の調査結果を追加して、一覧できる調査結果マップを作成した。 地図の判読にあたっては、鹿児島大学理工学研究科井村隆介准教授(第四紀地質学、火山地質学、地震地質学)及び法文学部小林善仁講師(歴史地理学、古地図研究)の協力を得た。 ② 自然資源利用に関するヒアリング調査 多くの地域の方の声を聴くとともに、地域の人たちが主体となって地域の自然や環境文化の価値をあきらかにするため、日本自然保護協会が提唱していている「人と自然とのふれあい調査」と、奄美群島で取り組まれている「奄美遺産」の集落調査を組み合わせて調査を行った。 調査対象とした集落は、奄美大島でほぼ唯一大規模に稲作が続けられており、平瀬マンカイやショチョガマなど稲作に関わる祭祀が残る龍郷町秋名・幾里と、森林・河川・マングローブ湿地が一体として残り、国立公園及び世界遺産の利用拠点となる可能性の高い奄美市住用町西仲間とした。調査を進めるに当たって、龍郷町教育委員会と奄美市住用総合支所の協力を得た。 本調査は地域の関係者と連携して実施し、「奄美遺産」の取組を進めている中山清美氏(奄美群島文化財保護対策連絡協議会会長)、田畑満大氏(奄美市文化財保護審議委員)、泉和子氏(奄美市文化財保護審議委員)の協力を得た。また、地域資源の観光利用の観点から永江直志氏(ネイチャーガイド、奄美自然学校代表)、地域文化継承の観点からNPO法人ディ(あまみエフエム ディ!ウエィブを運営)の参加を得た。さらに、「人と自然とのふれあい調査」のノウハウを地域に蓄積するため、自然保護協会から小此木宏明氏を2回招聘して調査をおこなった。 鹿児島大学から、生涯学習教育研究センター小栗有子准教授(環境教育学、社会教育学)、法文学部西村知教授(農村土地利用、農業経済)、法文学部小林善仁講師(歴史地理学、古地図研究)、鹿児島環境学研究会の山崎美智子氏(通訳ガイド)、深港恭子氏(指宿白水館 学芸員)の参加を得た。 学外からは、東京大学文学部の西村明准教授(宗教学)、北海道大学大学院文学研究科の宮内泰介教授(環境社会学)、中京大学現代社会学部の川田牧人教授(人間環境学)、総合地球環境学研究所の菊地直樹准教授(環境社会学)、大元鈴子研究員(地理学)の参加と助言を得た。 ③ 集落周辺の自然資源概況把握調査 ②のヒアリングで抽出された自然資源の利用が、現在の環境にどのような影響を及ぼしているかについて概況調査を行った。 本調査は、鹿児島大学理工学研究科鈴木英治教授(植物生態学、森林生態学)、宮本旬子准教授(植物系統学)、水産学部山本智子准教授(動物生物学、群集生態学、海洋生物学)、国際島嶼教育研究センター河合渓教授(動物生態学・海洋生物学)の協力を得た。
元のページ ../index.html#5