平成25年度地域の環境文化に依拠した自然遺産のあり方に関する調査検討業務報告書
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25 5. 環境文化としてのケンムン 弓削が指摘するように、ケンムンは、島民の自然とのかかわりを示す存在であると考えられる。町(2013)は「人々が畏怖してきた怪異の根源のひとつは<自然>」であり、「ケンムンを畏怖してきたことは、すなわち、人間は<自然>に畏怖をもってきた」と指摘する。ケンムンの存在は、奄美群島を特徴付ける「環境文化」と捉えられよう。 本調査で実施した聞き取り調査でも多くのケンムン譚が収集された。そして、それは今も生まれ続けている。秋名・幾里で収集したケンムン譚を地図に落としたのが図2である。集落と山、集落と海との境界、シマとシマの境界に出没することがわかる。海ではイザリなど採集の際によく遭遇するようである。4で収集した事例の中にも、海での採集活動の際に遭遇する事例が多く見られ、自然資源の利用との関連性が示唆されて興味深い。 図2 秋名・幾里ケンムンマップ

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