平成25年度地域の環境文化に依拠した自然遺産のあり方に関する調査検討業務報告書
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224 民家の移築経路(東・木方 2012より) このように、自然資源をうまく利用し、地域の環境に合わせ、さらに資源の有効利用も可能な奄美大島の伝統的民家は環境文化の象徴と言える。残念ながら、建て替えによる解体や、人口の流出によって放置され、その数を減らしている。 空き家となっている伝統的民家を集落歩きの際の休憩施設として活用することを提案したい。「ヒキモンカフェ」と銘打って、ここでお茶を飲みながら、シマガイドが木材の種類やヒキモン構造について語るなら、家から奄美の森林を見ることが出来る。個人の所有物であるため調整が困難と思われるが、シマガイドが手入れを行い、定期的な利用がなされれば、民家の寿命も延びることから、所有者にとっても利益になる取組と思われる。 5)地場産品に対する「ものがたり」と付加価値の付与 奄美の名物といえは「鶏飯」を思い浮かべる人も多い。ご飯の上に、鶏肉や卵などの具をのせ、鶏を煮込んだスープをかけて食する。しかしながら、現在では秋名・幾里の集落以外では奄美大島では稲作がほとんど行われておらす、観光客が口にするお米は、ほとんどが島外産である。昭和31(1956)年測量の地形図をみると、奄美大島のほとんどの集落で稲作が行われていた。その後の、減反政策、サトウキビへの転作、紬景気による農業離れなどに稲作が消えた。1960年代に6000haを超えていた稲の作付面積は、2011年にはわずか59haになっている(鹿児島県大島支庁 2013)。これは奄美大島らしい風景の喪失でもある。 水稲(作付面積)の経年変化

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