平成25年度地域の環境文化に依拠した自然遺産のあり方に関する調査検討業務報告書
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208 4.奄美遺産を特徴づける2つのアプローチ 本事業では、文化財類型調査(シマ遺産)によって、把握された有形・無形の文化財を周辺環境や味や香りまでも含めた総合的に保存・活用するための方針を「歴史文化基本構想」として定めることを目的としている。 「歴史文化基本構想」の策定にあたって、奄美地域の文化を特徴づけるため、下記の2つの側面からのアプローチを行うこととしている。 ① 重点テーマ及びストーリーの設定と保存・活用方針の検討 (※奄美の歴史文化の全体像を捉えるための検討のアプローチ) ② モデル集落の設定と保存・活用方針の検討 (※シマを原単位とする奄美の世界観を守るための検討のアプローチ) ①重点テーマ及びストーリーの設定と保存・活用方針の検討 これは、奄美の歴史文化の全体像を捉えるための検討のアプローチである。 文化財類型調査によって把握された有形・無形の文化財を基礎資料とし、奄美の固有性・普遍性等を特徴付ける上で重要と考えられるテーマを「重点テーマ」として抽出する。 さらに重点テーマ毎に一般市民等にも理解しやすい具体的なストーリーを設定し、各ストーリーを紡ぎ出す関連遺産群を抽出し、その情報をリストや地図等で整理する。 その上で、関連遺産群に共通する保存・活用上の問題点や課題を把握し、今後の取組の方針を検討する。 現時点では、「重点テーマ」として下記のようなテーマを想定している。 ◆重点テーマの設定(例) 1.奄美独特の文化を生みだした歴史を物語る遺産群 2.自然とともに生き続ける奄美の心を映し出す遺産群 ②モデル集落の設定と保存・活用方針の検討 これはシマを原単位とする奄美の世界観を守るための検討のアプローチである。 文化財類型調査によって把握された有形・無形の文化財を基礎資料とし、奄美の特徴であるシマ(集落)毎の固有性を重視した文化財の保存・活用を推進するため、下記の基準に該当する地域を、シマ(集落)の固有性を示す上での“モデル”となり得る区域という観点から、「モデル地域」として設定する。 ■モデル地区選定の基準 ○重点テーマに関連する主要な遺産要素を複合的に有している区域 ○遺産要素と周辺環境とが一体となって独特の景観や風致を醸し出している区域 ○住民の生活、生業、風俗慣習の中で固有の遺産要素が現在まで引き継がれている区域 また、モデル集落においては、集落の特徴(構造や地名等)を整理するとともに、集落が一体となって醸し出している雰囲気や個性を構成する構成遺産群を抽出・整理する。 その上で、モデル集落の構成遺産群の保存・活用上の問題点や課題を把握し、今後の取組の方針を検討することとしている。

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