平成25年度地域の環境文化に依拠した自然遺産のあり方に関する調査検討業務報告書
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206 奄美遺産の取組は国家レベルの最先端の取組であると自負する。 3.奄美遺産の仕組み 「奄美遺産」は奄美群島12市町村が広域文化圏として取り組む事業と位置づけ、鹿児島県大島教育事務所内の「奄美群島文化財保護対策連絡協議会」が中心となって取組を進めている。 1)抽出基準 奄美群島には奄美固有の文化的資源が数多く存在している。従来の「文化財」への適用が馴染みにくい文化財未満の文化的資源も含めて奄美群島の文化財を総合的に把握するため、奄美固有の文化的資源を「集落遺産」から「市町村遺産」「奄美遺産」へと表現することとし、以下のような基準に照らして有形・無形の文化的資源を幅広く掘り起こしていくこととした。 2)分類方法 市町村遺産の抽出とそのリスト化は、奄美固有の文化的資源すべてを網羅するため、従来の文化財分類とは異なる新たな枠組みとし、奄美群島独自の「市町村遺産」の分類方法を検討した。 奄美群島全体を視野にいれ、幅広い時代・文化財の掘り起こしを行い、「歴史」「生活」「集落」という3つの重点テーマ毎のストーリー設定をする。奄美の固有な文化的資源の価値や位置づけを明らかにすべく努めている。その結果、奄美群島で取り組む広域文化行政である奄美群島文化財保護対策連絡協議会が主体となり、奄美群島の観光協会や広域事務組合、鹿児島県大島支庁の協力を頂きながら広域で取り組む。12市町村はすでに集落遺産を認定する「シマ学」の取り組みなどを公民館教室等と連携して行っている。奄美市では集落遺産調査の成果から忘れ去られようとしている年中行事と季節に関わる島料理とレシピなど生活情報を満載した年度旧暦カレンダーが出来上がり群島の12市町村、教育委員会、学校や観光機関等に配布し好評を得ている。文化遺産の活用は生活の中にある足元から実践している。平成24年度には集落遺産から市町村遺産に認定された文化遺産を「奄美遺産」に認定する暫定リストの取り組みと12市町村への周知徹底が求められる。

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