平成25年度地域の環境文化に依拠した自然遺産のあり方に関する調査検討業務報告書
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200 (図8)環境コース卒業生の進路 (平成25年度屋久島高等学校環境コース説明資料 p.6より作成) (3)小括 鹿児島県立屋久島高等学校の環境コースは、公教育として屋久島で初めて屋久島環境文化村の理念とその試みに挑戦した青年育成の視点に立つ環境学習の機会だといえる。屋久島高等学校に進学する者は、ほぼ100%が屋久島出身者である。そのことからして、屋久島高等学校の環境コースは、【視座1】でいう「島民にとっての環境学習」にあたる。しかも、生徒らが共通に受講する環境専門科目と課題研究は、環境文化村構想で謳う「自然との共生によって得てきた暮らしの豊かさを改めて見つめ直し、地域での生産や生活を新たな未来に向けて組み立て直す契機」になる可能性は高い。屋久島高等学校環境コースは、平成14年から屋久島財団の環境学習の支援を受けており、地元で自然や生活とのかかわりに造詣のある方、屋久島で最先端の研究を行う研究者など本物に直接触れる教育を提供する。屋久島高等教育の取組みの魅力と可能性は、環境コースを結節点に地元の各種関係団体が、島民、島外者問わず、継続的で系統的な環境学習の実践に向けて連携する契機にもなりうるからだ。 【視座2】についても、各方面の専門家の知見に加え、専門性の高い教育プロパーの高校教諭が間に立つことで、高校生自らが環境文化のコンテンツを創出していくことにも期待される。次に取り上げる屋久島ジュニア検定に高校生も受験し、多数の合格者を出している点からしてこれからの期待は大きい。ただし、関係者のヒアリングから伺えることは、時間の制約もあり、高校生の関心を十分に引き出す上での苦労や、屋久島における環境学習の関係機関の情報が、首尾よく伝わってこない問題など課題も残されている。環境コースが今後どう発展し、また、生徒と教諭が共に屋久島の環境学習で指導的立場に立っていけるよう地域ぐるみで考えていくテーマだろう。 0%20%40%60%80%100%割合環境コース卒業生の進路国公立大学私立大学私立短大専門学校就職未定

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