平成25年度地域の環境文化に依拠した自然遺産のあり方に関する調査検討業務報告書
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はじめに 平成20年度に環境省那覇事務所がとりまとめた「奄美地域の自然資源の保全・活用に関する基本的な考え方」において、奄美地域の国立公園は「生態系管理型国立公園」であるだけでなく、「環境文化型国立公園」を目指すこととした。また平成24年度には「奄美・琉球」の我が国の世界遺産暫定一覧表への記載を決定し、ユネスコ世界遺産センターへ資料を提出している。 奄美大島の森林は、完全に原生状態である亜熱帯照葉樹林は少なく、大半は古くから人の手が入っているが、結果として世界遺産を価値付ける多様で固有性の高い亜熱帯生態系となっており、永く自然資源を利用して生活を営んできた人の自然とのつき合い方、そこで生まれ引き継がれてきた文化があり、自然と共生してきた地域といえる。 二次林が大部分を占める森林が世界遺産の候補となるのはわが国で初めてのことであり、世界的にもほとんど例がない。そのため、世界遺産の推薦にあたっては、これまでの森林の利用と保全管理の履歴について把握し、保全に寄与した環境文化を対外的に説明していくことが求められる。 本調査は、特に変化が大きい戦後の土地利用の変遷を明らかにし、地域の関係者と連携し、「環境文化」の把握を行ったものである。これらの調査を通じて得られた知見をもとに「環境文化型」の国立公園あるいは世界自然遺産の具体像の提案をおこなったものである。 本調査の実施にあたっては、地域の皆様に多くの時間を割いてご協力をいただいた。特に秋名平瀬マンカイ保存会の皆様とNPO法人すみようヤムラランドの皆様にはひとかたならぬご協力をいただいた。さらに、龍郷町教育委員会及び奄美市住用総合支所には多くの便宜を図って頂いた。ご協力を頂いた全ての皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

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