平成25年度地域の環境文化に依拠した自然遺産のあり方に関する調査検討業務報告書
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182 や島外者など多様な団体や人が関与している。安易に教育主体と学習主体を固定させるのではなく、まずは環境学習を行う条件がどのように整えられてきたのかに着目し、屋久島の環境教育を俯瞰する基盤をつくる。それが検証のための初歩的作業となる。 3.検証の範囲 対象とする範囲は、次にあげる二つの観点に絞り、取り上げる。 第一は、屋久島環境文化村の試みにおいて、環境学習の中核施設としての期待を受けて誕生した屋久島環境文化村センター、および、屋久島環境文化研修センターに焦点を絞る。 第二は、屋久島において展開する活動のうち、【視座1】~【視座2】に照らして、確かな芽として地元に根ざした取り組みに焦点を当てる。 4.屋久島環境文化財団と環境学習中核施設について 鹿児島県が平成4年11月に策定した「屋久島環境文化村マスタープラン報告書」には、環境文化村づくりの事業の第一番目に「環境学習・研究施設の整備」を挙げる。以下、該当部分を抜粋する。 島全体を自然と人とのかかわりを学ぶ環境学習のフィールドとして整備し、同時に島内外の交流の場や環境学習プログラムの整備を進めるため、拠点として環境学習中核施設を整備する。またこれを中心に、新設あるいは既設の関連施設との連携を図り、それぞれの特性を生かしながら、観察、案内、展示、研修施設等としての活用を進める。 屋久島の自然や文化には高い評価がなされているが学問的に解明すべきことがらも多く、一方で地域づくりの観点からは、情報発信や研究成果の還元、人材育成等に結びつけるため 知的生産の機能が求められていることから、高度な水準をもつ研究施設の整備を進める。 (同報告書 p.7-8) ここでいう環境学習中核施設の整備とは、平成8年に建設された「屋久島環境文化村センター」(屋久島町宮之浦)と「屋久島環境文化研修センター」(屋久島町安房)のことを指す。これらの施設は、平成5年に鹿児島県、上屋久町(当時)、屋久町(当時)の出捐により設立された財団法人屋久島環境文化村財団が管理運営する。 (1)施設概要 環境教育の条件整備の観点に照らして、これらの施設の内容と機能を確認する。両施設の概要は(表1)に示す。 (表1)屋久島環境文化村センター、および、環境文化村研修センターの概要 屋久島環境文化村センター 屋久島環境文化研修センター ・所在地 鹿児島県屋久島町宮之浦823-1 ・敷地面積 4.500㎡ 延床面積2,700㎡ ・構造等 鉄筋コンクリート/一部鉄骨 地上2地下1 ・所在地 鹿児島県屋久島町安房2739-343 ・敷地面積 20,000㎡ 延床面積2,800㎡ ・構造等 木造 一部鉄筋コンクリート 地上2F

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