平成25年度地域の環境文化に依拠した自然遺産のあり方に関する調査検討業務報告書
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14 先述したように奄美大島では赤木名城において12世紀の遺構からコメが検出されており、奄美・沖縄諸島では古いほうにあたる。いわゆる琉球弧における農耕の始まりの時期と考えられている。その後2013年から2015年に蘇鉄畑に関する調査が安藤邦広(筑波大学教授)をリーダーとする建築や世界遺産をはじめとする調査メンバーと一緒に調査に関わり、その調査報告会が3月に奄美で予定している。このようにソテツの利用やソテツバテと集落空間など今後奄美各地の蘇鉄畑の実態調査などの必要性も浮かび上がる。そのような観点から蘇鉄が栽培植物から庭木の鑑賞用まで島人と密接な関係にあることがわかる。シマ(集落)から山中を歩いて感じることは私たちが島という限られた範囲の中で多様な動植物で構成されている自然の中に生かされていることが実感できる。このことは鷲谷いづみ(東京大学教授)が指摘する「生物多様性は「生物種の多様性」、「同じ種の中での個性の多様性」、「生態系の多様性」を含む生命にあらわれているあらゆる多様性です。」ということが良く理解できる島嶼でもある。

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