平成25年度地域の環境文化に依拠した自然遺産のあり方に関する調査検討業務報告書
15/231

12 ねてデーターで示していきたい。 里山・里海を含めた人々の自然に対する考え方は風景や景観としてまちづくりの基本的取り組みとしてここ数年、島人の自然との関わり方が環境循環型としても注目されている。奄美市では赤木名地区の文化的景観調査も行われており、歴史的景観も含め景観を誘導し、作り出す立場から建築学、土木学、都市計画学、世界遺産学などの視点から西山徳明(北海道大学教授)を調査委員長とする専門のメンバーによる調査も行われている。また、琉球弧における世界自然遺産登録や国立公園に向けてはこれまでにない新しい考えとして生態系管理型と環境文化型を示しており環境問題と生態学的なアプローチも高くなってきている。これまで琉球と九州からの影響を強く受けた島人(シマンチュ)の自然観は重層する独自の景観を作り出していることも明らかにされつつある。今後住空間から庭に植栽されている植物や住宅配置等を含め、伝統行事につくられる四季を食する春の七草などのような植物利用の調査も楽しみである。 図1 資源の垂直利用 6.植物と土地利用 奄美における植物利用について熊本大学甲元眞之名誉教授にアドバイスを頂き調査を進める。甲元真之から頂いた陸軍獣医学校研究部の宮本三七郎が著した『食べられる野草』には6、食用植物が精力的にまとめたものがあった。記載する植物の選定は宝暦7年(1757年)の『荒本草』、和8年(1771年)の『民備荒録』ら明治36年(1903年)の『救荒誌』までの17冊の資料を紹介し、いずれも凶歳を契機としていることが文献の「救荒」「備荒」に役立つ植物を熱心に吟味し、ビタミン含有量などの栄養分析、季節や分布域と食養部位、調理法、食べ方など詳細に記録されている。 赤木名城における植生調査資料は文献調査と現地調査により、それぞれ個票(DB)を基に表1を作成した。調査期間は通年を通して行い、主だった植物186種の記録であ

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る