7 2.自然的環境 奄美群島の気候は、亜熱帯海洋性で四季を通じ温暖多雨である。気温は奄美市名瀬の各気象要素の平均値で見ると、年平均気温が21.5℃で、年変動が小さい1。日平均気温が10℃以下になる日が稀なため、大和の人にとってはあまり季節感を鮮明に区別できないようだが大和で言う初冬、冬、早春、春に該当する季節感は動植物の開花と渡り鳥などで確認することができる。一般的には晩秋からすぐに晩春の季節に入ることになる。降水量は年降水量が2913.5㎜で、梅雨期間である5~6月と台風の影響を受けやすい8~9月の降水量が年間のそれぞれ23%、21%を占める。また、冬季でも月降水量が150㎜を超える。日照時間は年間日照時間が1390時間で夏から秋にかけて多く、冬から春にかけて少ない。 鹿児島県大島支庁が毎年『奄美群島の概況』を報告している。報告書によると奄美大島の面積は約709平方キロ、奄美大島の林野面積は全体の約85%、 天然性の照葉樹林が52%余りである。天然林の林冠を占めている主な樹種は、 スダジイ、 フカノキ、 エゴノキ、 イジュなどで窪地や斜面の向き、 風当たりや湿度が保たれ養分もたまりやすい場所などで生育と保存状態の違いがみられるとしている2。 海岸に面した急斜面や尾根などの風当たりが強く乾燥した場所は、 スダジイやシャリンバイなどの低木林になっている。標高 694.4mの湯湾岳山頂付近などには、 霧がよくかかり、 空気の湿度が比較的高く保たれて、 タイミンタチバナ、 ミヤマシロバイ、 イジュなどの低木林がある。 残りは、 リュウキュウマツの混じる二次林、 リュウキュウマツ、 シャリンバイなどの植林地、 伐採地、 竹林、 草地などである。
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