平成24年度「屋久島・小笠原諸島等の島しょ型世界自然遺産をモデルにしたネットワーク構築等業務」報告書
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- 11 - 行われたIUCNと世界遺産委員会の現地調査においても、科学委員会が説明の中心を担い、結果として「地域コミュニティや関係者の参画を通したボトムアップアプローチによる管理、科学委員会や個々の(具体的目的に沿った)ワーキンググループの設置を通して、科学的知識を遺産管理に効果的に応用している」ことが賞賛され、他の世界自然遺産地域の管理のための素晴らしいモデルと評価された。 2011年に登録された小笠原諸島では、小笠原諸島では、暫定リストの提出前の2006年11月に地域連絡会議と科学委員会が設置された。小笠原諸島の世界遺産登録に関して科学委員会は以下のような役割を果たした。 ① 推薦書作成やIUCN現地視察の対応において、世界遺産としての価値の証明を科学的に行う役割 ② 管理計画と生態系保全アクションプランの策定において、管理方針や外来種対策等の課題対応への具体的な方策、その評価や見直しなどへの実質的な案を作成する役割 ③ 外来種対策の実施において、具体的な技術提案、試験的実施、モニタリングを行って、関係行政機関の事業に対して助言と評価を行う役割 小笠原諸島の世界遺産登録の際には、事前にIUCNのWCPA(保護地域専門委員会)のメンバーを招聘し、実現可能性検討(フィージビリティスタディ)によって様々な完全性、管理の問題点の指摘を受け、それに対して数年かけて対策を取ったプロセスが高く評価されたが、科学委員会の存在なしでは外来種対策を含めた課題への対応がこれほど進捗したとは考えられない。 以上のような経緯で我が国の世界自然遺産においては、関係行政機関と関係団体で構成された地域連絡会議と、学識者で構成された科学委員会により、合意形成と科学的な知見に基づく管理が行われている。

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