平成23年度「琉球弧の世界自然遺産登録に向けた科学的知見に基づく管理体制の構築に向けた検討業務」報告
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78 5)推薦書の提出 管理計画と生態系保全アクションプランの策定と並行して「推薦書」の作成が行われた。推薦書の詳細は第2章で述べたとおりであるが、主要な部分は科学委員会で議論された。推薦書についても、各委員がこれまで行ってきた調査研究の最近の成果によって作成されている。特に陸産貝類の適応放散については、詳細な研究成果がまとめらており、世界遺産登録の決め手となった。 推薦書は、管理計画と生態系保全アクションプランを添付して、2010年1月に世界遺産センターに提出された。 6)IUCN現地視察対応 2010年7月にIUCNの現地視察が行われ。説明は、科学委員会の委員が担い、推薦書・管理計画・生態系アクションプランの内容を現地で説明を行った。 なお、現地視察では、管理計画が地域に対して受け入れられているか否か、環境省ほか関係省庁、関係自治体、地元のNGO・NPOも含め、管理計画が実行できる体制か否かチェックされた。また、NGOにも意見を聞き、母島、父島両方で説明会を開いて意見を求め、反対意見の有無まで確認されている。 7)科学委員会の果たした役割 以上のように、小笠原諸島の世界遺産登録に関して科学委員会は以下のような役割を果たした。 ① 推薦書作成やIUCN現地視察の対応において、世界遺産としての価値の証明を科学的に行う役割 ② 管理計画と生態系保全アクションプランの策定において、管理方針や外来種対策等の課題対応への具体的な方策、その評価や見直しなどへの実質的な案を作成する役割 ③ 外来種対策の実施において、具体的な技術提案、試験的実施、モニタリングを行って、関係行政機関の事業に対して助言と評価を行う役割 小笠原諸島の世界遺産登録では、事前にIUCNのWCPA(保護地域専門委員会)のメンバーを招聘し、実現可能性検討(フィージビリティスタディ)によって様々な完全性、管理の問題点の指摘を受け、それに対して数年かけて対策を取ったプロセスが高く評価されたが、科学委員会の存在なしでは外来種対策を含めた課題への対応がこれほど進捗したとは考えられない。

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