平成23年度「琉球弧の世界自然遺産登録に向けた科学的知見に基づく管理体制の構築に向けた検討業務」報告
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61 ⑦タウナギ(Matsumoto et al,. 2010) 東南アジアから東アジアにかけての熱帯・亜熱帯水域に広く分布するタウナギ Monopterus albus について、ミトコンドリアDNA上の16S rRNA遺伝子の部分塩基配列(514bp)による分子系統解析を行った結果によると、地理的分布に対応した3つのクレード[中国・日本(本州+九州)、琉球列島、東南アジア]に分化しており、それぞれは異なった繁殖行動を示すことが分ってきており、少なくとも3種が含まれていると示唆されている(Matsumoto et al,. 2010)。 このうち、琉球クレードが他のクレードから分岐した年代は,570万年以上前の人為的移植が考えられない古い時代だと推定され,琉球列島の“M. albus”は自然分布であることが明らかとなったとしている(Matsumoto et al,. 2010)。 琉球クレードには、慶良間海峡をまたいで石垣島サンプルも含まれており、陸橋により、南琉球が大陸と繋がっていたとされる時期も遺伝的交流がなかったことが推定される。 (Matsumoto et al,. 2010)より転載

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