平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
99/104

91 ツナギ-オキナワマツバボタン群落,コウライシバ-ミズガンピ群落,イソマツ-モクビャッコウ群集,ソナレムグラ-コウライシバ群集,ハリツルマサキ-テンノウメ群集,オオシマノジギク-ホソバワダン群集,シマチカラシバ群集,イソノギク-コウライシバ群集,ハマトラノオ群落がある。(大野&寺田1996)。 『奄美の自然』には,徳之島の詳細な植生図が掲載されている。それによると,井之川岳山頂部のみアマミヒイラギモチ-ミヤマシロバイ群集があることがわかる。ムッチャガラ(シマイヌツゲ),シキミ,サザンカ,ヒサカキ,アデク,オキナワイボタ,シバニッケイ,ミイヤマシロバイを含み,林床にアマミフユイチゴ,ハツシマカンアオイがあるような林である。天城岳と三方通岳を結ぶ尾根,および井之川岳の尾根の海抜高度300〜600m付近,徳之島ダム北側にアマミテンナンショウ-スダジイ群集がある。標徴種として,アマミテンナンショウのほかに,リュウキュウハナイカダ,ヤクカナワラビ,アリサンミズ,リュウキュウヤツデ,シマサルスベリを含み,さらにショウベンノキ,サンゴジュ,アオキ,リュウキュウハナイカダなどの湿地を好む植物も含む。天城岳と三方通岳中間部の西側に1箇所,井之川岳西側の3箇所,剥岳北西側に1箇所,犬田布岳北側に1箇所,オキナワウラジロガシ群集が記録されている。山地部分は海抜高度450m付近までをケハダルリミノキ-スダジイ群集が占め,それよりやや低い立地にリュウキュウマツ群落が取り巻くような形になっている点は過去の植生図と変わらないが,その中に,伐採群落や,伐採後のシイカシ萌芽林が点在しているのが見受けられる。低地の大半が畑地雑草群落または住宅地や造成地である。サトウキビ畑が多く,水田はほぼ無くなっている。ムシロ瀬周辺と金間崎にアカテツ-ハマビワ群集がみられる。南部にはタブノキ群落が点在している。これについては義名山(儀名山)のガジュマル,アカテツ,ホルトノキ,アマミアラカシを含むタブ林と,明眼の森のアカハダグスを含むタブ林について詳細な報告がある(寺田他 2010)。ソテツ群落は東海岸北部の汐飛屋,車塔,井之川,神之嶺崎,亀津にあり,西海岸には無い。神之嶺崎付近,喜念,川津辺の海岸にモクマオウ植林地がみられる。砂丘植生は,東岸の北から,金見崎の西側と南側,山港,畦,喜念,面縄,西岸の北から与名間,松原,湾屋の南側,兼久の北部と南部であり,多くない。その他の自然海岸には隆起珊瑚礁植生がみられる。 3.植物相 3−1 固有植物 前述の『奄美の自然』では,徳之島における分布上貴重な植物が列挙されている。大野(1996)は,ハツシマカンアオイ,トクノシマカンアオイ,タニムラカンアオイ,シナマンリョウ,ニッケイ,シマカナメモチ,トクノシマテンナンショウ,トクノシマスゲ(天城岳)の8分類群を固有種としてあげているが,田畑(1996)

元のページ  ../index.html#99

このブックを見る