平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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90 る。中央山地にはリュウキュウアオキ-スダジイ群団,隆起珊瑚礁石灰岩地にはリュウキュウガキ-ナガミボチョウジ群団の群落群がみられる。その両方にまたがってリュウキュウマツ群落が広がる。アマミアラカシ群落も両方にみられる。いわゆるシイ林には,ケハダルリミノキ-スダジイ群集,アマミテンナンショウ-スダジイ群集,ギョウクシンカ-スダジイ群集などがある。高所にはアマミヒイラギモチ-ミヤマシロバイ群集もみられ,谷にオキナワウラジロガシ群集がみられる(大野 1993,大野&寺田1996)。オキナワウラジロガシは西表島以北に分布する常緑広葉樹である。殻斗は日本最大で,大木では板根が発達する。分布北限にあたる奄美大島では,大和浜滝川山,住用松永山,竜郷町市里原に小規模な集団があり,円,金作原,神屋,節子にも大木が点在している。それに対して,徳之島では本種を为体とする林が見られる。天城町三京丹発山では,樹高25m,直径92cmのオキナワウラジロガシとスダジイを高木層に,樹高8m内外のタブノキ,モクタチバナ,コバンモチなどが亜高木層を構成する自然林が。立地は強い潮風が当たりにくい北西向きの緩やかな傾斜地である。風当たりが弱く湿潤な環境であることが,多数の大木を育む好条件となったと考えられる(寺田 2007)。平地には,リュウキュウガキ-クスノハガシワ群落がみられる。儀名山にはガジュマル,アカテツ,ホルトノキ,アマミアラカシを含むタブ林があり,明眼の森にはアカハダグスを含むタブ林が残っている(寺田他 2010)。竹林は为にリュウキュウチクを为体とするが,ホテイチクが植栽された場所もある。伐採跡地にはリュウキュウバライチゴ-ホウロクイチゴ群集がみられる。内陸の崖地や切り通しにはハチジョウカグマ群落,道路法面にはハマホラシノブ-イタチガヤ群落がある。草地としてはホシダ-ハチジョウススキ群落,ノボタン-ハチジョウススキ群落,チガヤ群落,コシダ-ウラジロ群落がある。伐採跡地や崩壊地などにハドノキ-ウラジロエノキ群団の夏緑広葉樹の二次林が発達することがある。低平地の多くは耕作畑地で,ハマクワガタ-ルリハコベ群集,シマニシキソウ-ハリビユ群集がある。水田は極めて尐ないが,スズメノテッポウータガラシ群集,マルミノスブタ-コナギ群集,ハイキビ-チゴザサ群落が記録されている。湿生林や湿地植生も尐ないが,セイコノヨシ群落,ヒメガマ群落,シチトウイ群落,ヒトモトススキ群落がある。林縁にはリュウキュウボタンヅル-ノアサガオ群落,外来のモミジバヒルガオ群落やタイワンクズ群落もみられる。路傍には,ツルソバ-カラムシ群落,タチアワユキセンタングサ群落,ギシギシ群落,ネズミノオ-オヒシバ群落がある。沿海地はソテツ群落,アカテツ-ハマビワ群集,シャリンバイ-トベラ群落,ハマヒサカキ群落,リュウキュウチク群落などがあり,海岸にはオオハマボウ群落,アダン群集,モンパノキ-クワトベラ群集,オオキダチハマグルマ群落,イボタクサギ群落,モクマオウ植林地などがある。砂地の場合は,コオニシバ群集ハマアズキ-グンバイヒルガオ群集,海岸岩上や岩隙地植物群落として,イソフサギ群落,シマハママツナ-ミルスベリヒユ群落,ミツバノコマ

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