平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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80 など基礎インフラの整備は、観光動態を考えれば、連携して行うことが望ましい。奄美振興事業、沖縄振興事業、北部振興事業等は予算規模も大きく、連携が上手くいけば、国立公園、世界自然遺産保全上も大きな意味をもつことになる。 この場合、市町村、地域住民の合意、要請が前提となる。いずれの振興事業も地元からの要請を基本として組み立てられる性格のものだからである。したがって、第1に必要なことは、国立公園、自然保護、世界自然遺産登録が、地域づくりにとって重要な基礎であり、経済的にも大きな意味をもつことへの、地域の理解と合意である。 2.具体的施策、手法についての提案 ① 地域ゾーニング 徳之島モデル計画で検討した地域全体のゾーニングを敷衍して、国立公園、世界自然遺産対象市町村において検討する。まず環境省が中心となって調査委員会などをつくり、そこに各为体が参加するというのが、現实的であろう。 ② 観光全体計画 観光にかかる計画を、公園区域だけではなく、地域全体で策定すること。マス利用動線を区域外あるいは公園区域縁辺部に設定することで、自然の核心部はむしろ守られるという関係にある。公園利用計画と連携して関係为体と協議会などで議論し、地域全体の観光計画を作ることが望ましい。一部自然域での過剰利用を回避し、公園内外で分散施策を实施することは、観光実増に答えつつ自然保全を図る最も効果的な手法である。 また、マス利用とエコツアーなど限定的利用は、地域その他あらかじめ仕分けして考えることが望ましい。その意味でも、利用調整地域の設定、そのための議論と調整は、国立公園指定前から準備、着手しておくことが必要である。 ③ 国立公園 奄美、やんばるの国立公園における自然保護管理、利用施設整備は、区域外における自然環境保全、施設のモデルとしての役割をもつ。基礎データに基づく保全技術、さらにデザイン等々、範とするに足る水準が求められる。日本を代表する学者、技術者、デザイナーなどによる国立公園デザイン会議などの組織化について検討する。 一方、国立公園の利用施設整備については、個別地域ごとにむしろ地域の希望を積極的に取り上げていくことも重要である。この場合、地域個性を活かすための施設イメージとは何かについて、専門家のアドバイスも受けながら議論をつくし、

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