平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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72 3.琉球弧の世界自然遺産登録に向けて踏まえるべき視点 1) 白神山地と知床における世界自然遺産登録による変化 既存の資料等の分析から、白神山地と知床における世界自然遺産登録による変化をまとめると以下のとおりである。 ・ 地域連絡会議の設置、管理計画の策定、科学委員会の設置など、関係者が連携して自然を保全する仕組みが構築された。また、関係者の枞が広がった。 ・ 世界自然遺産登録の尐し前から観光実が増加したが、遺産地域との地理的関係、利用拠点の有無等によって、増加の程度や増加した期間は地域よって差が生じた。 ・ 観光実の増加は、観光関連の産業の成長を促し、雇用を生んだ。また、ガイドツアーなど新たな観光が生まれ、定着した。 ・ 地域の産業構造に大きな変化はなく、経済状況を大きく変えるほどの効果は享受できていない。 また、現地調査におけるヒアリングから以下の変化が指摘された。 ・ 地域の環境保全に対する意識が向上した。 ・ 地域の知名度が向上するとともに、環境がすばらしいという地域イメージが定着した。 ・ 十分な議論が行われないまま世界自然遺産になったことによって混乱が生じた。 具体的な事例について次に述べる。

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