平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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71 体での観光周遊や探勝利用だけでなく、近年は登山、トレッキング、シーカヤック等の体験型利用が増加してきており、質的に変化してきているうえ、多様化が進んでいる。世界自然遺産登録以降、ガイドは増加している。また、遺産登録後の変化としては外国人観光実(当初は欧米人,現在はアジア系)の増加が顕著で、町や商工会が英語・中国語・韓国語での案内版設置や接実業者の英会話講習を始めている。 過去からの推移をみれば、「知床旅情」のヒットを受けた知床観光ブームが昭和46年から始まり、知床横断道路が開通した昭和56年にもうひとつのピークがあり、その後、いったん減尐したものの平成に入ってから増加傾向が続き、平成17年の世界自然遺産登録まで250万に近くの観光実が訪れている。 斜里町と羅臼町の観光入込総数をみると、平成21年において斜里町が120万人、羅臼町が60万人となっており、倍の差がある。さらに宿泊実数で比較すると、斜里町が43万人に対して、羅臼町では7万人で6倍の開きがある。 斜里町はウトロ地区にホテル旅館12軒を含む22件の宿泊施設があり、5,672人の収容人数があるが、羅臼町には24件の宿泊施設があるものの、収容人数は818人である。このことから、斜里町は観光が大きな産業となっていることが伺える。 両町の観光入込総数は、知床が世界自然遺産の候補地となった平成15年から増加しはじめ、世界自然遺産に登録された平成17年に約250万人が訪れたが、その後は減尐しており、世界遺産効果は長続きしていない。ただし、平成20年、21年は北海道全体で観光実入込数が減尐しており、新型インフルエンザや景気の低迷の影響も無視できない。

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