平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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58 利用拠点の有無によって、世界自然遺産による集実効果に大きな差がみられる。一方、鰺ヶ沢町ではアクセスの良い場所に、遺産地域の代替となる利用拠点を整備することで、遺産効果をうまく取り込んでいる。 平成9年度から秋田県と弘前間で「リゾートしらかみ号」が運行されている。为に海岸線を走り、八峰町、深浦町、鰺ヶ沢町がその沿線になっている。乗るための観光列車の先駆けとされ、平成19年には10万人が利用している。これも世界自然遺産登録による「白神」の知名度の向上と清らかなイメージが、集実に寄与していると思われる。 ② ガイドツアーの实施状況 ⅰ 西目屋村(図表3-24) 白神山地の世界自然遺産地域で最大の利用拠点である暗門の滝を有する西目屋村では、「ブナの里白神公社ガイド業務斡旋要項」に基づき、ブナの里白神公社がガイドの斡旋を行っている。 暗門の滝を案内するガイドは複数団体あり、かつてはその資質や斡旋の順番、ガイド同士の確執等が問題になった。平成20年に「ブナの里白神公社ガイド業務斡旋要項」を定め、特定の団体やガイドに指名があった場合を除いて、公社に登録されたガイド団体を輪番で斡旋する仕組みを整えた後は問題は生じていない。 公社への登録は年度ごとに団体が行うことになっており、ガイドの個々の資質等については団体に委ねられている。現在、公社に登録されているガイド団体は4団体(白神マタギ舎、白神山地山の会、白神山地ガイド会、・エコ遊)である。 平成22年のガイド利用件数は団体605件、個人120件の合計725件で、総件数は平成20年以降減尐傾向にあるが、個人の依頼件数は増加傾向にある。また、平成22年のアクアグリーンビレッジANMONバス駐車場利用台数が大型・中型・小型・マイクロを合わせて1,132台であり、これが団体利用の母数と考えると、ガイド利用率は5割を超える。 暗門の滝散策のガイド料金は10,000円以上に設定されていることから、限られ期間ではあるが(平成22年は6月10日~11月7日)一定程度の経済効果をもたらしていると言える。 ⅱ 鰺ヶ沢町(図表3-25) 鰺ヶ沢町では、世界自然遺産地域が河川の上流部に位置し、町の中心からアプローチが極めて悪いことから、教育的利用を除いて直接の利用しないこととしている。 このため、白神山地から北に約20Kmのブナの森に、気軽に散策できる「ミニ白神」を平成9年に整備し、鰺ヶ沢白神山地ガイド倶楽部を組織してガイドツアー

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