平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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57 ① 観光実入込数(図表3-23) 平成21年において、観光実入込数が最も多いのは深浦町で163万人、次いで八峰町88万人、鰺ヶ沢町が80万人、西目屋村46万人、藤里町24万人の順になっている。世界自然遺産登録後の変化をみると、西目屋村の観光実の増加が著しい。他の町村も、世界自然遺産登録後に観光実数が伸びたが、平成15年以降は減尐傾向にある。 西目屋村で観光実の増加が著しいのは、利用拠点としてはほぼ唯一遺産地域内にある暗門の滝を有することが大きい。暗門の滝の観光実数は、遺産登録前に5万人前後であったが、平成10年には18万人近くに急増している。時期を同じくして、西目屋村では、白神館(平成6年整備、平成8年増設)、グリーンパーク森の泉(平成7年整備)、アクアグリーンANMON(平成7年)、物産センターbeechにしめや(平成10年)を順次整備し、第3セクターであるブナの里白神公社がその管理を行っている。ブナの里白神公社による雇用は100人に及び、その多くが地元採用である。近年では緊急雇用対策事業も利用し、大学・高校を出た人の一次的な受け皿になっている。 深浦町には、遺産地域内ではないが、利用拠点となる十二湖があり、世界自然遺産の効果により、十二湖の利用者は増加している。十二湖周辺には、宿泊施設を中心とする「アオーネ白神十二湖」が整備されており、平成8年の開設以降、利用者は順調に伸びて、10万が利用している。近辺に「十二湖エコ・ミュージアムセンター」が整備され利用の大きな拠点となっている。また、「アオーネ白神十二湖」ではガイドを組織し、宿泊セットのプランを用意するなどして、利用を伸ばしている。なお、関係町村のガイドツアーの实施状況については後述する。 鰺ヶ沢町は、遺産地域までのアクセスが悪いため、遺産地域の直接の観光利用はされていない。一方で、町の中心部の近くにブナ林の散策を楽しめるミニ白神を整備し、鰺ヶ沢白神山地ガイド倶楽部を町が組織してガイドを行っている。ミニ白神は駅から30分と交通の便が良く、ホテルに入る前などに利用できるため、団体旅行での利用が多く、年間に2万人がコンスタントに訪れている。 藤里町は観光実が減尐傾向で、観光実数で見れば、世界自然遺産の効果は小さい。これは、遺産地域内に利用拠点がないことと、周辺に観光地が尐なく「行き止まり」であるため、団体ツアーが組みにくいことが原因と思われる。一方で、非常に質の高いガイドが組織されており、本当に白神山地の自然にふれあいた方が、ガイドとともに白神山地を楽しんでいる。 八峰町は、二ツ森の登山口に位置する。、世界自然遺産の効果はあまり大きくないが、平成19年に「あきた白神体験センター」がオープンし、白神山地二ツ森登山などの体験活動を展開している。 このように、同じ世界自然遺産を有する自治体でも、遺産地域へのアクセスや

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