平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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51 地質は、为として中生代白亜紀にできた花崗岩を基盤に、新生代新第三紀中新世の堆積岩とそれを貫く貫入岩類で構成されている。 ③ 植物(図表3-5~3-9) 関係町村の植生をみると、自然度10及び9の自然度の高い植生が3割、2次林が2割、植林地が3割で、森林の占める割合が大きく、耕作地と市街地を合わせて約1割である。 遺産地域には、我が国の例温帯における気候的極相であるブナ林が現生的な状態で残存している。遺産地域のほとんどはチシマザサ-ブナ群団で、植生自然度では、10が2%、9が91.2%で自然度は非常に高い。ただし、関係町村には植生自然度9の植生が広く分布しており、世界自然遺産に含まれているのは全体の4割弱である。 林内や山頂部の風衝地、崖すい、露頭部の岩れき地においては500種以上の多様な植物が確認されている。この中にはアオモリマンテマ等の地域固有の植物やトガクシショウマ等の分布が極めて限られている種、北限・南限に当たる種、あるいは高山植物などの貴重な植物も含まれている。 ④ 動物 動物についても、遺産地域には豊かなブナ林を为な生息地として、多くの哺乳類、鳥類、昆虫類、は虫類、両生類、淡水魚類等が生息している。 中大型哺乳類に関しては、東北地方に分布する中大型哺乳類16種のうち、非常に多い降雪量のため生息が困難なニホンジカ、イノシシを除く14種が生息する。この中には、ニホンザル、ツキノワグマや特別天然記念物に指定されているニホンカモシカも含まれる。 鳥類についてみれば、天然記念物に指定されているイヌワシやクマゲラ、その他クマタカ、シノリガモ等貴重な種を含め84種の生息が確認されている。 昆虫類も豊富で、約2,000種の生息が確認されている。この中には、分布の北限または南限となっているものもある。 (3) 世界自然遺産として評価された顕著な普遍的価値 白神山地は、ブナ林の純度の高さやすぐれた原生状態の保存、動植物相の多様性で世界的に特異な森林であり、氷河期以降の新しいブナ林の東アジアにおける代表的なものであって、様々な群落型、更新のステージを示しつつ存在している生態学的に進行中のプロセスとして顕著な見本であるとして、クライテリアの(ⅸ)に合致すると判断されて、平成5年に世界自然遺産に登録された。 世界自然遺産の諮問機関であるIUCN(国際自然保護連合)の調査時における評価では、「白神の価値は、景観や観光面の魅力ではなく、生物学的・科学的特質に

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