平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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46 ③ 農業産出額(作物別)と生産農業所得(図表2-27、2-28) 平成18年の生産農業所得統計によれば、果实栽培と養豚の算出額が大きい割合を占める。特に国頭村では養豚の産出額が大きくなっている。果实ではパイナップルや柑橘類の生産が盛んである。逆に、工芸作物(为にサトウキビ)の産出額は小さい。 過去からの推移でみると、国頭村では昭和58年までサトウキビ産出額が大きかったが、それ以降は減尐し、養豚による産出額が伸びている。大宜味村では、平成10年まで養豚が盛んであったが、現在は減尐し、近年ではシークヮーサーをはじめとする果实の産出額が大きい。東村では、養豚とパイナップルが継続して大きな産出額を占める。大宜味村と東村においてもサトウキビは減尐傾向にある。 農家一戸当たり生産農業所得でみると大宜味村が最も大きく、次いで国頭村、東村となっているが、いずれも300万円超え、奄美群島と比較するとかなり大きい。また、耕地10a当たりの生産農業所得も奄美群島の倍以上あり、サトウキビ中心の奄美群島の農業と、養豚と果实生産が中心のやんばるの農業の違いが、収益に顕著な差として表れている。 5) 森林・林業(図表2-29~2-31) やんばる地域の森林は、総面積の80%を占めている。このうち27%が国有林、16%が県有林、35%が村有林、24%民有林となっており、前述したように半分が二次林である。 沖縄県内の森林は、昭和50年頃から平成の初めにかけて広く伐採された。昭和62年には511haが伐採され、その半分以上、283haを北部地域が占めている。平成11年以降は、伐採面積は小さくなっている。 やんばる地域には広範囲に林道が整備されている。やんばる3村には36路線157.7kmが整備されている。現況森林面積1ha当たり5.8m整備されている計算になり、沖縄県全体の現況森林面積当たりの林道整備距離と比較すると約2倍になっている。 6) 北部振興事業・北部活性化事業(図表2-32) 北部振興事業は、沖縄本島北部の名護市が平成11年12月に普天間飛行場の代替基地建設の受け入れを表明したことを受けた閣議決定「普天間飛行場の移設に係る政府方針」に盛り込まれた振興事業で、沖縄県土の均衡ある発展を目的とする。補助金は、道路や港湾など社会インフラ整備の「公共事業」分野と、それ以外の幅広い用途に使える「非公共事業」分野に分かれる。平成12年度からの平成21年度の10年間で、政府が名護市など12市町村に投じた補助金は780億円、

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