平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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40 ⑨ 自然保護地域指定状況 ⅰ 国定公園(図表2-15) 自然公園法に基づき、国頭村辺戸から大宜味村に至る海岸部及び与那覇岳周辺の森林が沖縄海岸国定公園に指定されている。 動植物の捕獲規制を含む厳しい規制が設けられている特別保護地区は、与那覇岳(251ha)や辺戸山などに指定されているが、面積は小さい。 区域図を見ればわかるように、海岸部を中心とした国定公園指定であり、世界自然遺産の価値を証明するのに重要なヤンバルクイナ、オキナワトゲネズミ、ケナガネズミを始めとする遺存固有種の生息地である自然林の保護はほとんどなされていない。 ⅱ 鳥獣保護区(図表2-15) 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律に基づき、国内希尐野生動植物種として指定されている、ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、ホントウアカヒゲなど世界的にも貴重な野生生物の生息地域であるやんばる(安田)(1,270ha)とやんばる(安波)(465ha)に国指定鳥獣保護区が指定されている。このうちやんばる(安田)には特別保護地区(220ha)が指定されている。 また、西銘岳、佐手、与那覇岳、大保に県指定鳥獣保護区が指定されており、このうち、西銘岳、佐手、与那覇岳の鳥獣保護区には特別保護地区が指定されている。 ⅲ 文化財(図表2-35) ノグチゲラやヤンバルクイナなどの種が国指定天然記念物(うち、ノグチゲラは特別天然記念物)に指定されている。 また、安波のタナガーグムイの植物群落(国頭村)、与那覇岳天然保護区域(国頭村)、田港御願の植物群落(大宜味村)、慶佐次湾のヒルギ林(東村)が国指定の天然記念物に指定されている。このほか、宇佐浜遺跡(国頭村)が国指定史跡、喜如嘉の芭蕉布が国指定重要無形文化財、安田のシヌグが国指定重要無形民俗文化財に指定されている。 4) 地域の自然、風景認識 海と山に囲まれたやんばる地域の集落では、海と山を一体として捉え、一つの空間から自然の恵みを受けているという空間認識が見られる。それを特徴づけるのが祭祀で、海神(ウンジャミ)祭などはこれを象徴的に表している。過疎化が進行し若者の減尐により、簡素化されたり、踊りの踊り手が高齢化したりしながらも集落の伝統として存続し、自然環境に根ざした文化が色濃く残っている。

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