平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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35 やんばる地域は、琉球諸島がのびる方向と同じ北東-南西方向に細長い地域で、西銘岳(420m)や与那覇岳(503m)など明瞭なピークを持たない標高400m以上の山地が島の中央部に発達し、脊梁山地を形成している。山地の周辺には標高200m以上の丘陵が広がり、山地や丘陵を分断するように小面積の台地・段丘が様々な高度で広範囲に分布しており、これらの山地、丘陵、台地・段丘を東西方向に流れる河川が深く刻んでいる。丘陵、台地・段丘とも急な崖となって海岸に移行することが多く、海岸線は西海岸が直線的であり断層崖とされるのに対し、東海岸は湾入に富んでおり海食崖とされている。 ③ 植物(図表2-3~2-6) 琉球諸島はモンスーンのもたらす降雤により、世界の亜熱帯地域の中でも限られた地域にしか成立しない亜熱帯性多雤林が成立し、固有種の为要な生息・生育場所として生態系の基盤となっている。 やんばる地域の森林は、温帯に特徴的な樹種と熱帯に特徴的な樹種が混生しており、スダジイが優占している。脊梁山地を中心とした山間部、中でも脊梁部東側の山域には、多くの固有種を育む林齢50年以上の森林が広く分布し、特有の森林景観を呈している。 やんばる3村の植生区分をみると常緑広葉樹、すなわち照葉樹の自然林が42%を占め、常緑広葉樹の二次林、落葉広葉樹の二次林、リュウキュウマツ群落を加えると、8割が森林である。その半分が自然林であることから、奄美群島の森林と比較するとその自然度は高い。しかしながら、森林の約12%がリュウキュウマツ群落であり、強度な伐採が行われてきたことが伺える。また、自然林の約4割が現在のところ北部訓練場内にあり、北部訓練場が自然林の保護に一役かっているともいえるが、今後の森林の保護を考えた場合には国内法による保護の担保が難しいことから大きな課題である。 植物相は、沖縄島を南限とする種ややんばる地域を北限とする種、琉球諸島のみに生育する種などが分布し、豊富である。ヒナノシャクジョウ科のホシザキシャクジョウ属はやんばるの固有属で、クニガミサンショウヅル、クニガミヒサカキ、オキナワセッコクなどやんばるの固有種も数多く生育している。 出典:第6回・第7回自然環境保全基礎調査(環境省)結果よりGISを用いて面積比を算出 やんばる3村植生区分面積割合やんばる3村33,97141.621.812.15.81.600.910.41.84耕作地市街地その他面積(ha)植生による区分(%)常緑広葉樹自然林常緑広葉樹二次林リュウキュウマツ群落落葉広葉樹二次林タケ・ササ群落二次草原植林地

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