34 共同で設置) 琉球諸島が世界自然遺産候補地の一つとして選定され、保護区の設定・拡充が課題とされた。 □ 平成19年3月 「国立・国定公園の指定及び管理運営に関する検討会」提言 「やんばる地域の照葉樹林などは、国立公園の指定も視野に入れた、より詳細な評価を行う必要」があるとされた。 □ 平成19年7月 ヘリコプター着陸帯(6か所)の移設に着工 返還に際しての条件とされたヘリコプター着陸帯の工事が着工されるが、反対運動が活発化し、工事が中断 □ 平成20年3月 「やんばる地域の国立公園に関する基本的な考え方」策定 □ 平成22年10月 「国立・国定公園総点検事業」結果報告 新規指定候補地としてやんばる地域が抽出される。 □ 平成22年12月 ヘリコプター着陸帯の工事が再開される。 2) やんばる地域の世界自然遺産としての価値 「平成19年度琉球諸島世界自然遺産候補地検討調査業務報告書」(環境省)によれば、「琉球諸島」は、クライテリアの(ⅸ)と(ⅹ)に該当するとされている。詳細は第1章1.2)「 奄美群島地域の世界自然遺産としての価値」を参照。 3) 自然環境の現状分析 ① 気象条件(図表2-1、2-2) やんばる地域の年間降水量は、与那覇岳で3,000ミリを超え、奥で約2,500ミリ、東で約2,000ミリである。いずれも梅雤と台風期に多い傾向になっている。 平均気温は奥で20℃を超え、奥における暖かさ指数は186で亜熱帯に属する。 亜熱帯は、熱帯の高緯度側の南・北緯20~30度の間に位置する地域が含まれ、降水量によって湿潤気候と乾燥気候に分けられる。亜熱帯地域で森林が成立する湿潤な条件を持つところは亜熱帯地域の3分の1に過ぎない。 その意味で、やんばる地域の森林は世界的にも希尐なものといえる。これは黒潮の影響によるものと考えられる。 ② 地史・地形の特徴 現在の琉球諸島の姿は、为に新生代の第三紀中新世(約2300万年から170万年前)の頃からの激しい地殻変動による隆起・沈降と、第四期(約170万年から1万年前)のサンゴ礁の発達に伴う琉球石灰岩の堆積によって形成され、その間に大陸や日本本土と何度か陸橋により接続していたと考えられており、それによって大陸の影響も残った固有で豊かな動植物相が形成されている。
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