平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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33 第2章 やんばる地域における自然環境の価値及び社会経済環境の現状分析 1.自然環境の価値分析 1) やんばる地域の自然環境の概要 やんばる地域は、琉球諸島を構成する沖縄島の北部に位置し、特異な自然環境を有するとともに、古くから人々が暮らしてきた地域である。 「やんばる(山原)」とは、「山々が連なり森の広がる地域」を意味する言葉で、古くは、亜熱帯林の森が広がっていた沖縄島北部のおおよそ1市2町9村(金武町、恩納村以北、離島3村を含む)を指したが、その範囲について明確な定義はない。 現在では、そのような亜熱帯林の森が広がる地域という意味で「やんばる」と呼べる範囲は狭まり、名護市以北が「やんばる」の一般的概念となっている。 しかし、ノグチゲラやヤンバルクイナをはじめとする多くの固有種が生息し、生物学的に見てまとまりのある森林が比較的健全な状態で残る地域は、国頭村、大宜味村、東村に限定されると考えられる。このため、環境省那覇自然環境事務所がとりまとめた「やんばる地域の国立公園に関する基本的な考え方」(平成20年3月)では、国頭村、大宜味村、東村を中心とし、一体的に保護と持続可能な利用を図っていくことが必要と考えられる周辺地域を含め「やんばる地域」とみなしている。本報告書における「やんばる地域」もこれに従う。 現在、国頭村と東村にまたがる森林地域(7,513ha)は、米軍の演習場として利用されている。平成8年にその一部(約4,000ha)の返還が明らかになったことを受けて、環境省では、その地域を中心とするやんばる地域の自然環境の保全・活用を図るため、国立公園指定を視野に入れた調査検討を進めているが、平成23年3月現在においてに返還の目処は立っていない。 (参考)国立公園の検討に関する为な経緯 □ 平成8年4月 「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」中間報告 米軍の北部訓練場として利用されている地域の一部(約4,000ha)の返還が明らかとなったことを受けて、環境庁長官(当時)が、「返還地の自然環境の保全のため、国立公園の指定も選択肢の一つとして調査したい」旨表明。 □ 平成8年12月 「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」最終報告 平成14年度末までを目途に、北部訓練場の過半(約3,987ヘクタール)を返還することが盛り込まれる。 □ 平成14年7月 沖縄振興計画 「国頭3村にまたがる広大な森林地域については、適切な保全管理や多面的活用をはじめ、国立公園化を検討する。」こととされた。 □ 平成15年5月(参考) 世界自然遺産候補地に関する検討会(環境省と林野庁が

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