平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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32 ここから山頂への登山道が始まるなどの工夫が必要 ・ 整備方針のポイントは、マスとエコの2つの利用形態をスムーズに調整することにある。同時に、利用をコントロールして保護につなげ、土産物販売などを通じて経済につなげる役割も考慮する ・ 国立公園の施設整備は、公園利用をスムーズにし利用の質を高めることが第1の目的であるが、島全体での同種利用施設に対してモデルとしての役割もある。水準の高い施設、利用形態を示して、島全体の公園区域外に好ましい影響を与えるという関係が望まれる ・ 観光動線、ネットワーク形成、整備は、公園区域内だけでは当然完結しないから、奄美振興各種事業と連携して行うことが現实的である。奄美振興事業当局と調整しつつ国立公園についての作業を進めるほか、奄美振興事業計画、予算要求などと情報交換しつつ一体的に行うことが重要である (特記事項-自然林再生事業) 井之川、天城中腹及び山麓のリュウキュウマツ、シイカシ萌芽林は、放置すればいずれ自然林に遷移するが、最低でも30~50年はかかると思われる。枯れたマツの伐採処理、シイカシの播種などを積極的に行って、遷移を人間の手で加速する、自然再生のための事業を实施することを検討する。核としての自然林を取り囲むように实施すれば、保護のための緩衝地帯を設定することにもなる。 再生事業候補地は、両山山麓、両山中間地域、南部秋利神川周辺地域である。 この事業の自然保護上もっとも大きな意味は、天城、井之川の自然林がこれによりつながって一体的生態環境となることにある。 これは、もっぱらマンパワーによる事業として雇用、経済効果もあると思われる。重要なのは経済効果と自然保護の強化がつながっていくことにある。 両山の中間地帯を公園区域にし、自然回復、再生のための事業を实施することは、生態系の一体性を確保する面からきわめて重要である。しかしながら、畑地などの利用が行われている地域でもあり、地域合意、土地利用関係者の合意を前提として、行うことが肝要である。 国立公園としては、当面普通地域として指定するなど、再生、復元施設として事業化を検討するための工夫を検討する。

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