31 れるような核心地域での利用は、いまよりむしろ抑制していく必要があるだろう。徳之島の中央森林部、アマミノクロウサギ生息地についても、現在は利用がほぼないものの、あらかじめ予防方策を考えておく必要がある。その手段としては国立公園による保護、利用規制がある。 (徳之島における観光対応について) 昭和40年代から50年代以降、徳之島は観光についてあまり関心を示さなくなってきた現状がある。しかしながら今年6月の小笠原世界自然遺産登録以降、次の世界自然遺産として既遺産地域とともにクローズアップされ、観光実数も増加することが容易に想定される。 島の規模、観光施設、自然保護対応策の現状から、そう大きくない増加数であっても保護上、地域社会の混乱の恐れがある。 このため、海岸部为要展望地点を中心にマス観光利用のための動線を計画し、拠点の整備により、スムーズな観光利用を可能にするほか、中央森林核心部においては、ガイド付きエコツアーなどの体制、施設を整備して、両利用形態が混乱しないように考えていくことが必要である。 (国立公園施設整備について) ・ マスツアーについてはコース(動線)設定と拠点整備がポイントである。すでに整備された道路などのインフラにより、観光ネットワークの形成は、新たに自然破壊をしなくても充分可能である。徳之島の観光ポイントは犬の門崖など为として海岸際にあるから、いくつかの展望地などを補完整備すれば、そう時間と費用をかけなくても対応できる。海浜植生などに配慮すれば保護上の心配はあまりない ・ 観光拠点(適当な1箇所を集中整備しマスツアーの拠点とすること)を1箇所整備して、マス利用を吸収する。また、マスツアーとエコツアーとの接点にもする。イメージとしては、徳之島の自然と文化の基礎情報センターがあり、駐車場、便所などのサービス施設がまとまってある地区。併せて道の駅的な地域整備も考慮する ・ この拠点地区から樹上木道を始めるなどの工夫もある。木道のイメージは、高さ18~20メートル、延長500メートル程度、人間の視点が樹冠の上に出ることが重要である。照葉樹の樹冠の花に群がる蝶や鳥が観察できる。こうした視点で森林を見ることは尐ないし、ハブ対策にもなる ・ 拠点から木道の利用は、原則ガイド付き、人数制限型のエコツアーとする ・ 拠点整備の役割は、いわゆるマスツアー観光実が、森に入らなくても一定程度の満足を得られるようにすることにある。拠点の規模としては数ヘクタール、
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