平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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30 (管理手法としての特記事項) ・ 徳之島の自然は生物多様性に富んでいるが、小規模、モザイク型の生態系、生息生育地が複雑に絡み合っているのが特徴である。このため、よりきめの細かい規制手法が必要となる ・ 森林については、歴史的に焼き畑、パルプ材伐採など人為の影響を強く受け二次林などに変質、あるいは畑地に転換してきた歴史がある。この結果、島民の意識としては、農地など現状の土地利用についてのこだわりがあり、保護規制に関してはこうした意識を前提とした亜熱帯森林地域における新たな基準づくりについても検討すべきである ・ 島民意識を考慮しつつ、国立公園、世界自然遺産への理解を深めていくためには、こうした人間と自然の関係の歴史的経緯、意識を充分考慮して行う必要がある ・ 行政機関経由だけではなく、島民ひとりひとりへの情報伝達を重視する見地から、ニュースレター各戸配布、イベント開催等については、さらに充实拡大して实施する ・ 具体的には、島民各層、とりわけ高齢者層の協力と理解を深めるため、80歳以上を「世界遺産推進員(仮称)」として任命し、過去及び現状についてヒアリングするなどの施策事業化について検討する ・ 世界遺産推進員(仮称)は、委嘱辞令を交付、徳之島の歴史等についてのヒアリング实施ととりまとめ、配布を当面の作業とし、世界遺産など関係資料、ニュースレターでの紹介等も行う。推進員の任命は、環境省、鹿児島県等で検討する ③ 観光対応のための国立公園施設整備 ここでは観光について考え、また、いくつかの施策メニューについて考える。 示された施設はあくまでも例示であり、これから議論をしていく際に具体的イメージに基づいて考えるためのものである。 今後つくるべき施設は何かということも重要であるが、提案された施設や事業の地域における意味、役割は何かということがより重要である。 (観光の考え方) 観光実の増加は地域経済を押し上げる一方で過剰利用の弊害をもたらしかねない。奄美の現在の40万人という観光実数は、次の世界自然遺産候補地としての報道などを契機に増加する可能性が高い。 観光における「調整」の意味は、マス利用とエコツアーなど選択的利用の、計画的分散にある。大島におけるアマミノクロウサギ・ナイトツアーなどに既に見ら

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