平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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22 4.徳之島モデル計画 徳之島モデル計画の目的は、多様なそれぞれ個性的な性格をもつ奄美群島のこれまでの分析を、徳之島に限定することによってより深め、世界自然遺産と地域との共生関係について具体的に検討することにある。 徳之島は奄美群島の中間に位置し、大島に次ぐ大面積の島であり、人口も大島に次ぐ。その一方で、中央森林部はアマミノクロウサギが生息するなど世界自然遺産の候補地でもあるなど自然性も傑出しており、中世期には群島内の文化の中心であったなど文化的集積も大きい。こうしたことから、自然保護と住民の生活生産の調和、調整、共生関係を検討するにふさわしい地域であると考えられる。 ここでいうモデル計画とは、①島全体の土地利用ゾーニング②为として自然保護のための国立公園ゾーニング③国立公園利用のための施設整備関連、についての一つの試案である。 1) 徳之島の現状及び特徴 計画を考えるにあたって、まず徳之島の自然及び社会の現状と特徴について見る。 ① 自然環境等 ⅰ 自然環境 自然環境把握は、植生自然度、貴重生物分布図等及び今回調査した徳之島植物調査をベースとして行った。 a)概況 (植生自然度から見た徳之島の特徴) ・ 自然林である常緑広葉樹林が3.5%と尐ない ・ 耕作地が52.5%と大である ・ 二次林は43%あることも大きな特徴で、人為の影響が歴史的に積み重ねられてきた地域であることがわかる ・ 二次林のうちリュウキュウマツ林は16.4%、常緑広葉樹二次林は25.2% ・ 井之川岳(標高645m)と天城岳(標高538m)がもっとも高い山であるが、自然林は、ほぼこの山頂部周辺にのみ残存している ・ 自然林は、オキナワウラジロガシ、スダジイが優先し、ごく尐ないが板根も見ることができる ・ 植生自然度上の市街地は6%と群島では中間的、おおむね海岸近くに位置する

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