平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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20 3.世界自然遺産登録が同地域の社会経済に与える影響・効果について これまで見てきたように、奄美群島の自然環境については、森林のほとんどは2次林であるが、遺存固有種が生息しており、世界自然遺産としての顕著な普遍的価値を十分有すると思われる。一方、保護地域の設定など推薦までには多くの課題が残されている。また、社会経済環境については、人口は減尐傾向にあり、高齢化が進み産業の担い手も尐なくなるなど厳しい状況にあり、所得についても県民所得との格差が見られている。しかしながら、喜界島、徳之島、沖永良部島では農業が意欲的に取り組まれており、所得の向上が見られる。 世界自然遺産登録の影響は、他の先行事例に見られるように、まずは観光実の増加に現れる。しかしながら、何ら準備もしないでその時を迎えるならば、屋久島の縄文杉の例に見られるように特定の自然資源への過剰な負荷が生じることが予想される。奄美大島の場合はアマミノクロウサギがこれにあたる可能性が高い。そして、これもまた屋久島の例をみれば明らかなように、一定の規模の経済活動となった後には利用調整や規制を行うことは極めて困難である。また、一部観光ガイドなどに雇用が生まれると思われるが、大島紬などの伝統工芸、魅力的な農作物、豊かな食文化などに及ぶ経済的効果は限定的になる可能性は否めない。 このため、世界自然遺産の集実効果を奄美群島の地域づくりに効果的に活かすためには、事前に持続的で魅力的な利用方策の具体化と総合産業としての観光の確立が必要となる。 持続的で魅力的な利用方策としては、先に述べた利用人数の調整や利用ルートの一時的な閉鎖などのルール、奄美地域の魅力を十分に味わえるような利用ルートや利用メニューを検討することに加え、奄美の自然を魅力的に伝える場の整備が考えられる。多くの観光実にとっては、直接的に自然を見ることに加え、奄美の文化を通して奄美の自然を見ることがより魅力的と思われる。このため、平成20年から3カ年かけて行われた「文化財総合的把握モデル調査」で提案された「奄美遺産」と連携した展示の場づくりが望まれる。この中で、大島紬などの伝統工芸、魅力的な農作物、豊かな食文化などを紹介し、メニュー化することで総合産業としての観光にも寄与する。 世界自然遺産の影響の二番目は知名度を格段に飛躍させることである。これは地域に対する誇りを生むとともに、外からの視線を感じることによって、地域が改めて自らの地域を見直す契機となる。そこから、改めて地域の大切なものを確認し、さらに失った風景を取り戻す機運が高まれば好循環となる。 また、知名度の向上は産物の付加価値を高める。世界自然遺産を有する地域として環境配慮型の農業などが展開できれば、イメージアップ効果はさらに大きくなる。 世界自然遺産登録による知名度向上の効果を活かすためには、事前に地域が为

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