平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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9 ⅲ ノヤギ 奄美大島の固有種や希尐種の生育する植生や、土砂流出に悪影響を与えるノヤギについて、奄美大島各町村が条例を制定して飼いヤギへの標識の義務化や放し飼いの禁止とともに、ノヤギの有害鳥獣捕獲が实施されている。また、民間団体により奄美大島のノヤギ個体数調査が实施されている。 ⑨ 自然保護地域指定状況 ⅰ 国定公園(図表1-21) 奄美群島国定公園は、沈降性海岸と隆起サンゴ礁,鍾乳洞などを为要景観として、昭和49年(1974年)に指定された。陸域面積で7861ヘクタールと保護制度の中でもっとも大きい。海域には海域17106ヘクタール、海域公園が5ヶ所446ヘクタール指定されている。 動植物の捕獲規制を含む厳しい規制が設けられている特別保護地区は、大島湯湾岳103ヘクタール、住用マングローブ林が71ヘクタール、徳之島井之川岳322ヘクタールときわめて尐ない。 区域図を見ればわかるように、海岸部を中心とした国定公園指定であり、世界自然遺産の価値を証明するのに重要なアマミノクロウサギを始めとする遺存固有種の生息地である森林部の保護はほとんどなされていない。 ⅱ 鳥獣保護区(図表1-21、1-22) アマミノクロウサギやアマミヤマシギなどの希尐鳥獣の生息地として重要な奄美大島湯湾岳の320haが国指定の鳥獣保護区に指定されているほか、鹿児島県指定により23か所4826haの鳥獣保護区が設定されている。いずれも小規模であり、国定公園と同様に、奄美の特異な生態系が存在する森林の大部分はカバーされていない。 ⅲ 天然記念物 「文化財保護法」に基づき、樹齢100 年を超えるスダジイを中心とし、アマミスミレ等の奄美固有種が生育する亜熱帯照葉樹林である神屋国有林と、気候の影響を受けて特徴的な低木林となっている湯湾岳国有林が国の天然記念物に指定されているがいずれも規模は大きくなく、保護は不十分である。

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