平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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5 プ用に伐採された後に成立する2次林が9割を占め、自然林はほとんど残されていないのが現状である。 徳之島は、高島に属しながら山地を取り巻くように隆起サンゴ礁の台地があり、耕作地が発達している。照葉樹林が約30%で、リュウキュウマツ群落の16%を加えると45%が森林で、耕作地の45%とほぼ同割合となっている。また、奄美大島と同様、森林の9割は二次林で、自然林はほとんど残されていない。 このことから、奄美大島と徳之島の森林は、古くより地域の身近に存在し、モンスーン気候を背景とした照葉樹の旺盛な再生産力をうまく利用しつつ、受け継がれてきたタブーや戒めなどにより持続的な資源利用を行い、結果として希尐種や固有種の生息空間としても維持されてきたと考えられる。 低島である喜界島、沖永良部島、与論島は耕作地が発達し、5割を超え、常緑広葉樹林はわずかである。これは、地形が平坦で耕作地として利用しやすかったためと考えられる。 ④ 海岸改変(図表1-12、1-13、1-14) 平成10年において、奄美群島の海岸線の77%が自然海岸、9.9%が半自然海岸、12.9%が人工海岸となっている。昭和53年からの変化をみると、人工海岸が47km長くなっており、全島で人工海岸が伸びている。 ⑤ 動物 琉球弧の島々は、ユーラシア大陸との分離・結合を繰り返しながら形成されており、海洋に隔てられた小島嶼群として成立する過程において、当時この地域に生息していた陸生生物が島嶼内に隔離され、その分布が細分化されたために独自の進化が進んでいる。特に、奄美群島と沖縄本島を含む中琉球は、大陸から隔離された歴史が長く、多くの遺存固有種や島ごとの進化を示す固有種が多く生息する。 島嶼別植生区分面積割合常緑広葉樹常緑広葉樹リュウキュウマツ落葉広葉樹二次草原タケ・ササ植林地耕作地市街地その他自然林二次林群落二次林群落奄美大島(加計呂間島、請島、与路島を含む)81,2556.555.219.95.00.50.00.85.62.44.1徳之島24,7773.525.216.40.90.10.00.245.06.02.7喜界島5,69316.35.90.05.60.30.06.452.47.75.4沖永良部島9,3672.311.92.72.90.10.00.766.89.63.0与論島2,0471.93.60.20.00.00.02.364.622.94.5出典:第6回・第7回自然環境保全基礎調査(環境省)結果よりGISを用いて面積比を算出植生による区分(%)面積(ha)

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