3 また、推薦する範囲については、「①大陸島の種分化が明確で、遺存固有種・固有種や国際的な希尐種が多く存在し、②OUVの証明に貢献できる生物地理区を代表する島嶼で、③良好な自然環境が一定の規模で残っており、負の影響を受けていない地域、をシリアルの構成要素として抽出して推薦することが適当」とされている。 ‣ クライテリア(x)(生物多様性): 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。 ‣ 顕著な普遍的価値の内容 琉球諸島はIUCNレッドリストに掲載されている多くの国際的希尐種の生息・生育地となっている他、多くの固有種が見られ、世界的に見ても生物多様性保全上重要な地域となっている。琉球諸島は、科学的にも保全の上でも興味深い多様な陸上生物のための重要な生息地であり、その多様な生物のほとんどは絶滅の脅威にさらされている。オキナワトゲネズミ(IUCNレッドリストCR、以下「IUCNレッドリスト」を略)、ノグチゲラ(CR)、イリオモテヤマネコ(EN)、アマミノクロウサギ(EN)、ヤンバルクイナ(EN)、リュウキュウヤマガメ(EN)、イシカワガエル(EN)、ルリカケス(VU)、など、多くのシンボル的な種が、生息地の消失や捕食のために、絶滅が危惧される状態にある。 特に興味深いのは、琉球諸島の両生・爬虫類の種数が日本の他の地域に比べて多く、これらの動物群での固有種率が高いことである。陸生爬虫類では、琉球諸島の在来種56種のうち46種が固有種であり、固有種率は約85%と非常に高い割合を示している。 琉球諸島の植物の多様性も、面積が小さいことを考慮すると極めて高く、列島の为要な島群のそれぞれに1,000種以上の顕花植物が生育しており、合計120種が琉球諸島に固有である。琉球諸島は日本の国土の1%にしかならないが、絶滅の危機に瀕した維管束植物の20%を有しており、日本の絶滅に瀕した植物の生育地として、その重要性は傑出している。
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