平成22年度「持続的な地域づくりに資する琉球弧の世界自然遺産登録に向けた課題と方策に関する検討業務」
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2 2) 奄美群島の世界自然遺産としての価値 「平成19年度琉球諸島世界自然遺産候補地検討調査業務報告書」(環境省)によれば、「琉球諸島」は、クライテリアの(ⅸ)と(ⅹ)に該当するとされている。 ‣ クライテリア(ix)(生態系): 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。 ‣ 顕著な普遍的価値の内容 琉球諸島は大陸との分離・結合を繰り返した地史を反映した、大陸島における生物の侵入と隔離による種分化の過程を明白に表す顕著な見本である。琉球諸島が本クライテリアに該当すると考えられる理由は、为に第三紀後期からの列島の興味深い生物地理学的歴史にある。かつて、琉球諸島がユーラシア大陸の東端を成した時代(約1500万年前)には、大陸と共通の陸生生物が生息・生育していたが、海洋に隔てられた小島嶼群として成立する過程において、当時この地域に生息・生育していた陸生生物が島嶼内に隔離され、その分布が細分化されたために独自の進化が進んだ。その結果、現在の琉球諸島の陸域の生物相は多様性に富み、アマミノクロウサギ、ケナガネズミ、アマミトゲネズミ、オキナワトゲネズミ、ルリカケス、ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、リュウキュウヤマガメ、クロイワトカゲモドキ、キクザトサワヘビ、イボイモリ、ナミエガエル、ホルストガエル、オットンガエル、イシカワガエルなどの数多くの遺存固有種が生息生育している。

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