73 (3)その対処方法 遺産登録及び登録に向けての手順等から想定される課題は、 遺産登録地と担保措置である国立公園地域の実体的乖離と、取り扱い等格差への不安 上記による経済的波及効果等の格差及びその不安 屋久島で見られたごとく、一部地域への利用集中、過剰利用による自然破壊、利用環境の劣化などが引き起こされる自然保護上の問題等々があると考えられる これらを踏まえた対処のための大きな方向性は、 遺産及び国立公園の関係や内容についての説明会開催など、普及啓発活動など説明を積み重ねること この場合、保護地域の設定は同時に開発地域の設定と表裏の関係にあり、奄美全体の合理的土地利用の方針づくりと連動しているという視点に立つこと リュウキュウマツなど二次林地帯においては、自然林に戻す再生モデル事業を提案するとともに、利用のための伐採等について、再生産力の高いこの地域独自の国立公園管理基準を検討していくこと 屋久島における1万ヘクタール(島の5分の1)の登録地の効果が全島に及んでいると同様に、遺産効果は奄美群島全体に及ぶことの、具体的事例、データに基づく丁寧な説明 遺産のイメージアップ効果と併行して、島ごとの個性化方策や島間の連携による相乗効果を上げる方策などの検討と提案 具体的には、島ごとの個性に合わせたシンボル的国立公園施設整備を、地域主導で策定し、環境省が実施するなどの方策が考えられる 利用集中による生態系破壊などへの対策は、国立公園による利用規制措置など制度的対応を前提とするが、さらに観光関係者等への協力要請等広汎な参加についてもいまから準備しておく必要があること 観光に関するインフラ整備、関連ソフト施策の充実などを地域全体で考え、奄美振興事業などで具体化していくこと 遺産効果を観光業界だけではなく、地場関連産業全体に及ぼすための当面の手がかりとして土産物商品開発研究会などを立ち上げること 等である。文化財調査や奄美振興事業などと連携していくとの視点が重要である。
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