平成21年度「自然共生型地域づくりの観点に立った世界自然遺産のあり方に関する検討業務」報告書
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64 「降水量及び標高」(図表1,2,3,4,5,6) 奄美群島の年間降水量は、もっとも多い奄美大島で2300ミリ程度、その他の4島は1600ミリ台である。5島とも梅雨と台風期にまとまって降り、夏の高温期にはしばしば渇水となって農業上の大きな課題となっている。 島の最高標高値は、大島(694メートル)と徳之島(645メートル)のみが高く、喜界島204メートル、沖永良部240メートル、与論は97メートルと低い。前2島は高島、あとの3つの島は低島と呼ばれる。低島の3島はいずれも隆起珊瑚礁の島である。 「土地利用面積」(図表10,11) 群島全体の森林率は67%、耕地が14%とほぼ8割を占め、市街地など都市的土地利用面積は1割にも満たない。大島は85%が森林、逆に与論には82ヘクタールの林地があるだけである。大島の耕地面積は2185ヘクタールしかなく、もっとも多い徳之島の6880ヘクタールと比べると格段の差がある。(総面積は大島が徳之島の3倍以上ある)この2島の市街地等人工化された地域の比率は、それぞれ1.1%、3.1%とどちらも少ない。 「植生、森林率及び国有林比率」(図表10,11) 森林は大島で69389ヘクタール、徳之島で10961ヘクタールと多く、その他の喜界島、沖永良部島はいずれも千ヘクタール前後、与論はわずか82ヘクタールのみである。国有林は大島で4133ヘクタール、徳之島で3760ヘクタールと森林面積に比して少なく、その他の3島には国有林はない。全森林面積比の国有林率は9.5%ときわめて少ない。 図表11に見るように、大島の森林の最大の特徴はリュウキュウマツ林が約4割を占めることである。シイカシの二次林を加えると半ば近くが二次林である。一方高標高地を中心に自然林は3割近く残っている。徳之島は大島ほど森林の自然状態はよくないが、おおむね同様の傾向である。今後自然保護地域を設定する場合、自然性の高い森林には民有林が相当程度あると考えられ、調整についての工夫が必要となろう。なお二次林比率が非常に高い原因は、戦前から戦後の一時期までパルプ材の生産が活発に行われてきたせいだと思われる。スギの植林は一部に残存し過去に試みられたものの現在はほぼゼロとなっている。 「保護地域面積」(図表39,40,41,42) 奄美群島国定公園は陸域面積で7861ヘクタールと保護制度の中でもっとも大きい。海域には海域17106ヘクタール、海中公園が5ヶ所446ヘクタール指定されている。特別保護地区は大島湯湾岳103、住用マングローブ林が71ヘクタール、徳之島井之川岳322ヘクタールときわめて少ない。図表39を見ればわかるように海岸部を中心とした国定公園指定であったことがわかる。アマミノクロウサギを始めとした奄美の特異な生態系はむしろ森林部に集中して存在し、この2島森林部が世界自然遺産登録の候補地とも

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