平成21年度「自然共生型地域づくりの観点に立った世界自然遺産のあり方に関する検討業務」報告書
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63 た。 産業一般及び観光関連産業については基礎データを整理した他、特に自然ガイドや特産物、土産物の生産、販売動向など定量的データが入手し難いものについては、現地調査や関係者ヒアリングによって補完した。 また、遺産候補地であることによる地域イメージへの効果及び島民の意識変化の考察は、これまでのヒアリングなど各種調査結果、講演会や各種セミナー(直近は9月26日鹿児島大学主催で開催された奄美公開セミナー)での発言等を分析することによって行った。 (2)整理、分析における留意点 自然保護、遺産登録に関して、奄美群島の実態がどのような状況にあるかということが分析のための第1のポイントである。また本調査趣旨から、屋久島で行った分析と比較対照することによって、第1のポイントの分析はより明確なものとなるであろうことに留意した。すなわちおおむね屋久島で見た定量的データ数十とおおむね重なるように、かつ、奄美においてはやや広めなデータ収集を行った。 3.3 主たる指標分析と抽出 奄美群島の現状及び世界遺産登録後を想定するとともに、特に屋久島との比較を意識して同じ指標を10選択した。背景として広汎なデータを収集分析したが、そのうち約50ほどは資料集に掲げてある。なお、屋久島が1島1町であるのに対して、奄美群島は5島(属島を除く)12市町村あり、しかもそれぞれ個性、特徴があることから、群島全体の総括表(図表1)と島別個表(図表2,3,4,5,6)を別途整理し、基本的チェックシートとした。 「人口推移」(図表20,21) 奄美群島全体の人口は2005年現在で126483人。人口のピークは1950年の222779人であり、それ以降長期低落傾向が続いて、累計では約10万人が減少した。1920年にはすでに21万人、それ以降ほぼ20万人を超える水準で推移している。注目すべきは100年前の1908年の総人口はすでに21万人あったことである。島別の傾向は昭和30年代にもっとも激しく10年間で20~40%がどの島も人口減となっている。 この長期の人口推移から考えられることは、①100年前の人口規模(しかも全国人口が5千万人時代である)はこの地域が本来豊かで扶養力に富んだ地域であること②奄美群島の人口減少は、高度経済成長にともなう大都市及び臨海工業地帯での人口増と表裏の関係にあること、である。 群島全体の総人口のうち半ば以上の約7万人が大島に集中し、さらにそのうちの約5万人が奄美市に居住している。

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