平成21年度「自然共生型地域づくりの観点に立った世界自然遺産のあり方に関する検討業務」報告書
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131 4 屋久島、奄美比較分析 4.1 比較分析 <奄美屋久島・主要社会指標> 屋久島及び奄美群島のケーススタディを対比させ、屋久島の経験を踏まえて、奄美において遺産登録により予想される課題と対処方法を掘り下げて考察することにより、世界自然遺産地域及び世界自然遺産候補地における自然共生型地域づくりの課題解決に資する検討を行った。 (1)比較分析の意義 世界遺産登録に関して発生する諸問題への対処、対策を円滑に進めるためには、第一に遺産登録や国立公園に係る行政当局が大きな方針を示すことが必要である。さらにこの方針について、地域の理解を深め合意形成を図ることがきわめて重要となる。 屋久島と奄美群島のケーススタディの対比分析の意義は、屋久島を先行事例として現に起きたことを整理分析し、奄美で起きる可能性が高い諸問題について想定し、予め対処方法を準備することが主たる目的である。本調査の役割はそのための具体的な手順や手法について検討しデータと論理に基づいて提案することである。 (2)提案と手法を検討するための視点 検討と提案のための視点として、以下のことが考えられる。 予見、予防的観点で行うべきこと、例えば保護地域、利用規制地域指定など保護のための制度にかかるものの検討 過剰利用対策やマス利用とエコツアーなどの利用形態の仕分けのために、国立公園の利用計画、施設整備などを積極的に活用すること 全域が低山系山林、照葉樹林帯及び亜熱帯生態系における保護と利用は国立公園としても初めての経験であり、新たな風景保全、自然保護及び利用についての公園計画上の整理が必要となること

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