「最近侵⼊した」という表現の“最近”とはいつからか、また、「管理している範囲」という表現の“範囲”とはどこまでを指すかは、曖昧なところがあります。⼀般に明治時代以降に侵⼊した植物は外来植物とされます。奈良時代以降に導⼊された⽂献記録がある梅やイチョウなどの植物、⽂献記録はないが⽇本への稲作の導⼊などに伴い侵⼊したと考えられ「史前帰化」と呼ばれる植物の扱いは、⼈により異なる場合があります。また、外来種には、園芸や農業利⽤のために導⼊した植物が、⼈が管理していない⾃然界に広がってしまった植物と、導⼊するつもりはなかったが輸⼊物資に混ざるなどして⼊ってしまった植物があります。前者の場合「管理している範囲」と「⾃然界」の判断が難しいこともあります。 外来植物は⼈為的に⼊って来たので、最初に⼈間の居住地とその周辺に定着します。⼈の居住地には樹⽊が少なく明るい裸地が多いので、外来植物には裸地環境を好み、「道端雑草」と呼ばれる植物が多くなります。湿って暗い環境を好む種類が多いシダ植物や、古い森林を作る樹⽊には外来種は稀です。世界⾃然遺産地域の保全を考える場合には、道端雑草的な外来種よりも、少数種ですが古い森林に⽣育する外来種の対策が重要でしょう。 外来植物には⽣育地に関して上記のような傾向がありますが、外来植物にしかない特徴というものはありません。個々の植物の名前を調べ、その植物の履歴を知って外来植物か在来植物かを判断する必要があります。そこで、以下では、奄美⼤島で⾒られる代表的な外来種20種について解説します。なお、解説⽂に出てくる植物学⽤語を、次に簡単に説明しておきます。 11 2.外来植物の⾒分け⽅ 外来植物とは、奄美群島に国外や国内の群島外から⼈の影響によって最近侵⼊し⾃然状態で⽣育している植物です。国外原産の植物を「国外外来植物(または帰化植物)」、国内に⾃⽣していた植物を「国内外来植物」と区別します。⼀⽅、昔から奄美群島に⾃然に⽣育している植物は「在来植物(また⾃⽣植物)」と⾔います。奄美⼤島(加計呂⿇島、与路島、請島を含む)には、在来種が約1,330種、外来種が約270種存在します。なお、栽培植物の⼤部分も群島外から導⼊されていますが、畑や花壇など⼈の管理している範囲以外で⽣育していないものは外来植物とはいいません。
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